年間3.4兆円。これは生理痛や更年期障害といった女性の健康問題による経済的損失です。あすの「国際女性デー」を前に家庭や企業はどう向き合えばいいのか考えます。

妻・中山明子さん
「頭が痛いとか貧血になっちゃうなとか。夫のラインに通知が届くようになっています」

都内に住む中山さん夫婦。アプリを使って共有しているのは、妻・明子さんの生理前の体や心の不調です。

妻・中山明子さん
「出産前後で結構PMSがひどくなりまして、気分も落ち込みやすくなったりとか」

PMS=月経前症候群は女性特有の健康課題として知られていますが、悩んでいるのは女性だけではありません。調査によると、交際経験のある男性のうち、半数近くがパートナーのPMSで悩んだことがあるといいます。明子さんの夫も…

明子さんの夫
「いつもより強く当たられたりとか、泣いていたりとかっていう時があった時には、そう(PMS)なのかなと思いつつ、『なんか自分、悪いことしちゃったかな』と」

しかし、アプリを使うことで、すれ違いが減ったといいます。

明子さんの夫
「いつもよりも育児・家事の分担を多くするとか、何か言われても、あまりこちらも腹を立てて言い返さないとか、そういう変化を意識してますね」
妻・中山明子さん
「そうなんだ、ありがとう」

こうした女性ならではの健康問題への対応は、家庭だけでなく、職場においても重要な課題です。

PMSによる仕事のパフォーマンス低下や更年期障害による離職など、女性の健康問題による経済的損失は年間3.4兆円にものぼるとされていて、今国会には職場で女性従業員の健康を支援するよう促す改正法案が提出される見通しです。

この日、都内の会社で開かれたのは、女性の健康問題について理解を深めるイベント。生理用品などが展示され、触れることもできます。

参加した女性は、声をあげにくいからこそ、理解する「場」をつくることに意義があると訴えます。

参加した女性社員
「男性の上司が女性社員の体調不良に気付いても、声が掛けにくいということがあった。職場でも話すきっかけになるというのがすごく大事」

セミナーが行われた会社の代表は…

J:COMグループ「IPPS」 大庭健二 代表取締役社長
「本人だけじゃなく、会社の課題だと思うんですよね。女性社員も生き生きと仕事ができて、やりがいを持ってできる。それで最終的には会社の成長に繋がると、そういうふうに考えて取り組みをしました」

女性の健康問題を女性だけのものにしない環境づくりが求められています。