■「ママ」の判断が重要に?2024年へのシナリオは

勝敗を分ける要素として吉崎氏が挙げたのは「新型コロナの動向」「インフレ、金融引き締めの効果」「国際情勢(ウクライナ、台湾)」「トランプ・ファクター」「文化戦争(中絶問題、銃規制など)」だ。

――影響が大きいのは、どの要素か

双日総合研究所 吉崎達彦氏:
インフレがこの後1か月でどちらに進むかというのは、大きな別れ道ですね。

――「中絶は絶対ダメだ」という主張について、中間的な考えで都市部に住んでいる人や女性はついていけないということがあるが

双日総合研究所 吉崎達彦氏:
毎回「ママ」が大統領を決めると言われています。郊外に住んで子供を育てている母親たちは、わりとその時のテーマに敏感に反応して揺れるので、今回も「ママ」の判断が重要になってくると思います。

「リアル・クリア・ポリティクス」のレポートによると、上院は接戦州が7で、7のうち4を民主党が取れば50になる。

双日総合研究所 吉崎達彦氏:
現状(民主党50、共和党50)維持であれば民主党の勝ちです。50対50の時は議長を兼ねる副大統領の1票で物事が決まりますので、現状維持なら勝ち。できれば1個か2個上積みして身内の造反議員が出てもいいようにしたいということです。

この7州の中にMAGA候補が立候補している州もあり、これらの候補の勝敗が勝負を決めることになるかもしれない。

吉崎氏は今後のシナリオ予想として、「メインシナリオ(民主党が上院、共和党が下院を制す)」では、バイデン大統領が求心力を維持し、トランプ責任論が噴出する。「リスクシナリオ(共和党が上下両院で勝利する)」では、トランプ氏の大統領選出馬宣言、さらにバイデン政権のレイムダック化と見ている。

――上院で50を維持さえできれば、バイデン大統領が事実上の勝利になるのか。

双日総合研究所 吉崎達彦氏:
そうですね。あと、共和党内でどうして上院で勝てなかったのかという話になります。やはり弾(トランプ)が悪かったのではないかと。そうすると、あまり数は多くないのですが、反トランプ派の議員が2024年に向けて活動しやすくなるということが考えられるわけです。

――一方で共和党が上下両院を制すと?

双日総合研究所 吉崎達彦氏:
バイデン氏は大変です。残り2年間何もできない、法案は何ひとつ通らないという感じになっていく。

――トランプ氏についていけば選挙に勝てるのだと共和党が思ってしまう。

双日総合研究所 吉崎達彦氏:
年内にも出馬宣言が飛び出すのではないでしょうか。

「オクトーバーサプライズ」という言葉もある。あと1か月、何が起こるか注目だ。

(BS-TBS『Bizスクエア』 10月8日放送より)