ウクライナ侵攻が始まって3年。いまもロシアによる攻撃にさらされているウクライナの都市からオーケストラが来日し、戦闘終結への願いを込めたコンサートを行いました。
レオニード・ポポフさん(36)。ウクライナ南部・オデーサにある国立歌劇場オーケストラのクラリネット奏者です。
ロシアによるウクライナ侵攻。3年前、彼の音楽家としての人生は大きく変わりました。
クラリネット奏者 レオニード・ポポフさん
「非常に大きなストレスで、楽器を吹きたい気持ちがなくなってしまいました」
命を守るにはどうすればいいかだけを、ただ考えていたと話します。
あれから3年経った今も心に平穏は訪れません。
クラリネット奏者 レオニード・ポポフさん
「空襲警報は毎日鳴っています。(空襲警報の音で)『今から何か悪いことが起こるかもしれない』と不安になります」
先月も。空襲警報が鳴る中での練習。公演の本番であっても、演奏を中止しなければならないことも。これが現在のオーケストラの日常です。
3年が経ち、戦闘終結に向けた協議が始まった今、ポポフさんが望むのは、ウクライナが他の国の言いなりにならないこと。
クラリネット奏者 レオニード・ポポフさん
「私たちが何をすべきかについて、考えを誰にも押し付けられたくありません。他の国は自分の利益を求めて意見を押し付けていると感じるからです」
日本の人に最も聴いてほしいというのが「ウクライナ舞曲集」。ウクライナの民族音楽を元に作られました。
海や太陽、山々を思い出させるこの曲を通して、「ウクライナの自由と不屈の精神を感じ取ってもらいたい」といいます。
日本公演の実現に尽力したのは、オデーサの劇場で4年以上、指揮者を務める吉田裕史さんです。去年、日本でクラウドファンディングを行い、オーケストラを招待しました。
国立オデーサ歌劇場 首席客演指揮者 吉田裕史さん
「戦時下から来たオーケストラがどれだけ真剣な思いで、日々本当に大変な状況で演奏しているオーケストラ。戦場で同僚を失ったり、兵役に急に行ったり、それをありのまま聴いていただけたら」
そして、迎えた公演当日。戦闘終結への願いをクラリネットの音色にのせます。
観客
「素晴らしかったです。感動しました」
「(会場の)一体感があって、その意味でも本当に日本に来ていただけて良かったと思いました」
クラリネット奏者 レオニード・ポポフさん
「ウクライナが発展し、独立した国であり続け、前進できるという条件での平和を望んでいます。世界に暴力や残酷さがあってはいけません」
ウクライナの不屈の精神を込めて、これからも演奏を続けます。
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