後半国会の目玉「選択的夫婦別姓」をめぐる議論が与野党で活発化している。自民党内では大きく「通称使用拡大派」と「別姓賛成派」に分かれ、野党は共同法案の枠組みを模索中だ。焦点は子供の姓の決め方や戸籍制度への影響。参院選を控え各党の思惑が交錯する中、果たしてどのように実現するのだろうか。

自民党内で分かれる主張、「慎重派」高市氏vs「賛成派」野田聖子氏の攻防 

自民党内では、選択的夫婦別姓をめぐって慎重派と賛成派それぞれの主張が展開されている。慎重派の高市早苗氏は、通称使用の拡大を目指す法案を独自に作成。「マイナンバーカードや住民票に併記になってる人、戸籍氏と旧氏が併記になってる人に対しては、旧氏を使える環境を整える責務を課す」と話す。

一方、賛成派の野田聖子氏は「(通称使用の拡大は)あくまでも別姓法案ができるまでの“仮置き”という流れで進められてきたもので、あくまでも国内用。これから女性がキャリアを持って、大きな国際社会の中で活躍するときには、必ず引っかかりになってくる」と発言。夫婦別姓の導入に向けて積極的に活動を進める。

党内でも立場が分かれるが、自民党担当記者は「慎重派の方に勢いがある」と分析する。2月12日に行われた氏制度を議論する会の初回会合(自民党の全議員が参加可能)では、出席した自民党議員およそ50人のうち、明確な賛成派はわずかに3人だったためだ。

しかし自民党といえば、総裁選の際には「選択的夫婦別姓に賛成」の立場を示す候補者も多数おり、石破総理もその一人だったはず。党のリーダーが推進を目指していたにも関わらず、自民党に慎重派が多いのはなぜなのか。

それは、7月に予定されている参議院選挙への影響だ。仮に選択的夫婦別姓を進めた場合、“岩盤保守”と呼ばれる自民党支持層を失う懸念がある。自民党にとって「選択的夫婦別姓」の議論は、支持基盤を揺るがしかねない重要な問題だ。