学校教育のあり方を問う話題のドラマ「御上(みかみ)先生」。
そのドラマの監修も務めている教育アドバイザーが26日、上田市で講演しました。


教育関係者などおよそ230人が拍手で迎えたのは、教育アドバイザーの工藤勇一(くどうゆういち)さん。

工藤さんは、松坂桃李さんが主演してSBCで放送中のドラマで、日本の教育のあり方を問う「御上先生」の学校教育監修を手掛けています。

都内の中学校などで校長を務めていた際には、定期テストや宿題を廃止するなど学校改革にも取り組んできました。

工藤さん:
「教育というのはキーワードは自己決定です。子どもの自己決定をどれだけ繰り返すことができるように支援をするか。これが教育なのに、自己決定させなければ人のせいにする子どもしか育ちません」

急速に進むデジタル化や人口減少など社会構造が変化し、先が見通せない時代を生きる上で、自分で物事を判断し、行動に移す能力が欠かせないという工藤さん。

しかし今の日本の教育は、教師や親が子どもに手をかけすぎて、主体性が育たないと指摘します。

工藤さん:
「特に日本の教育は社会性を重視して、人に迷惑をかけるなということをものすごく重視する教育なので、あれをするなこれをするな、そうすると子どもたちはそのうちこう聞いてきます。お母さんこれやっていいのと聞きます。なぜかというと臆病になってしまうので、リスクを負うことをやりたがらないから、やっていいかと確認をとるんですね。人のせいにできますよね、自分で決定してないので。人のせいにできるという教育ですね」

教育する側から押し付けるのではなく、子どもが何を学びたいか選べる仕組みづくりが重要と話しました。

工藤さん:
「僕らは命令形をやめようって決めたんですよ。そこで考えたのがこの3つのセリフですね。飛び出していった子どもをつかまえて『どうした』って『あの先生大嫌いだから』ってめちゃくちゃなこと言うんですよ。それに対して『どうするよこの後』っていうと、びっくりしますね。子ども言われたことないんですよ。でも自己決定した子どもは先生に感謝するんですよ。その場所を僕らは与えてあげるってことをやっていくんですね」

根本的に国の教育制度の在り方を変えていく必要があると訴える工藤さん。

そのうえで教員一人一人が教育とは何か主体的に考えることで日本を変えていけるとメッセージを送りました。