岡山県浅口市の寄島漁港に、ただ一人の女性漁師がいます。漁師歴はたったの3年。技術不足に体格の差、そして師匠の引退・・・多くの困難に直面しながらも「一人前になりたい」と挑み続けるその姿に密着しました。

おじいちゃんみたいな漁師になりたい

(YouTube動画より)
「ぴよぴよぴよ、ひよっこ漁師るかです」【画像①】

【画像①】

(應本瑠奈さん)
「ここの白い壁にこう座って、オープニングとかもここで撮ったり」【画像②】

應本瑠奈さん、29歳。寄島でただひとりの女性漁師です。日々の仕事の傍ら、漁業の魅力を伝えたいと、自分の仕事の様子をYouTubeで発信しています。

【画像②】

(應本瑠奈さん)
「『女性でもできるよ』みたいな、なりやすいような環境づくりができたらいいなと思います」

大学を卒業し、養護教諭の免許を取得した瑠奈さん【画像③】。しかし、港町で育った経験から漁師への憧れを捨てきれず、3年前に底引き網漁の世界へ足を踏み入れました。

【画像③】

(和泉砂絵記者)
「この魚、なんですか?」
(應本瑠奈さん)
「ゲタ。おいしいです」

【画像④】

エビ、カニ、ゲタなど多種多様な海の幸を狙います。瑠奈さんはまだ、取れた魚を選別する作業しかできませんが、おそろいのつなぎで一緒に漁に出る祖父・崇明さん【画像⑤】の背中を見て漁師のイロハを学んでいます。

【画像⑤】

(和泉砂絵記者)
「おじいちゃん、どうですか?」
(應本瑠奈さん)
「かっこいいですね。おじいちゃんみたいに長く続けていっぱい魚を取れる漁師になりたいです」

【画像⑥】

ただ・・・そんな生活にも、終わりが近づいていました。

(祖父・崇明さん)
「私がもうやめるけんなあ。今年で。この海にはおらんようになる」

崇明さんはことしで85歳。高齢のため4月に引退し、船も、別の人に譲ってしまいます。

【画像⑦】

漁の仕事を継ぎたいという瑠奈さんですが・・・

(祖父・崇明さん)
「おなご一人でするこたあねえよ。絶対に船にのるまあなあ、漁師はすまあ(乗らないだろう。漁師はしないだろうね)」

【画像⑧】

おじいちゃんからは厳しい言葉です。その胸の内には、漁師の現実があります。

(祖父・崇明さん)
「漁行っても魚がおらんけ厳しいわ。燃料も8000円から9000円くらいいるもの」