根尾サンタからのプレゼント
「僕!?」
心なしか、嫌そうではなかった。
「分かりました、でも一旦考えさせていただいてもいいですか?」
この時の真剣な表情を忘れることはない。年内くらいまでに返答をいただけないかと約束し、その日は別れた。ここからがディレクターの腕の見せどころ。返事を急かすわけではない。こちらの誠意を伝えようと、寒空の下、ナゴヤ球場で何日か待った。空振りに終わった日もある。
お願いをしてから一週間後の12月25日。ナゴヤ球場に根尾投手が現れた。先に口を開いたのは根尾投手だった。
「よろしくお願いします」
深々と頭を下げてくれた。唐突な言葉に少し驚いたが、私の顔を見ただけで声をかけてくれたことが嬉しかった。何年振りかのクリスマスプレゼントは、根尾サンタから。この瞬間から密着取材が始まった。まずは2か月間の取材分をまとめて、2月24日にCBCテレビの「チャント!」で放送した。