本作では幾島監督自身がナレーションを担当。テレビとは違い、ナレーションを削ることに苦労したと言いますが、製作チームとして結成7年目の編集マンカメラマンへの敬意と信頼関係がありました。

作業中の永井編集マン

・幾島奈央監督
「映画にしてくれたのは永井編集マンのおかげです。テレビの編集ではしないような、映像素材を存分に活かした編集をしてくれました。もちろん、カメラマンのチカラもすごくあって、素材がいいので、映像を活かした編集ができたんです」

「テレビとは違ってクマの様子がすごいわかるようになりましたし、現場の人の動きもよくわかります。作品にはいろんなクマが出てきますが、クマの様子がそれぞれ違うこととか、同じクマでも日が経過するにつれて様子が変わっていく。人の行動がクマに影響していることも伝わるし、変化を見ることができるのが、この映画の良さだと思います。この映画では、クマも変わっていきますが、人も変わっていくところを見ることができるんです」

 「島牧村のクマとの向き合い方は全国に繋がるものです」と話す幾島監督。

 環境省によると、2020年~2024年までの過去5年間で、全国では623人がクマに襲われ、このうち18人が死亡しています。

 市街地でのクマの出没が相次ぐ中で、政府はこれまで法律で禁止していた市街地での猟銃の使用を、人の生活圏にクマが出没するなどした場合に限り、市町村の判断で可能とする鳥獣保護管理法の改正案を閣議決定しました。

・幾島奈央監督
「たまたま島牧村でクマの問題が一番最初に起こっただけで、この先、全国で起きる可能性がある課題です。島牧村の出来事が最初にニュースになった時、みんなどこか他人事でした」

「取材した7年間で、問題意識の距離感は確実に縮まっています。自分たちにも起き得る課題だということを知ってほしい。島牧村が選んだ答えはあくまでも村の答え。地域によって答えが変わってくるので、自分たちで答えを考えていくんだという部分をこの作品で伝えたい」

クマと人との共存。

この映画を見ると、あなたの考え方が少し変わるかもしれません。