“大変だったこと”
駒田:去年10月の就任から約4か月。想像以上に大変だったことは?
藤川:やっぱり「人」ですかね。コーチもしていなくて、一般の企業で言うと部下がいるような状況で仕事をした経験がないわけで。それがいきなり組織のトップになる。「どういう風にやっていけばいいのかな?」ということはありました。
藤川:幸いなことにコーチの方々が年齢が上なんですよ。既存のプロ野球では無い形、各分野のプロフェッショナルな先輩たちに自分が力を借りながらチーム作りをしていくという部分では非常に助かっていて。上手く組織を作って頂けたなと。
駒田:年上のコーチで逆にやりにくいことは?
藤川:全く大丈夫ですね。同じチームでプレーしていて、僕が抑えをやっていて先輩方が後ろを守っていたこともあったので。しっかりこちらが丁寧に対応すれば心を開いてくれるし、まず人の繋がりと、立場の役割、仕事のやり方をこっちが把握しないと壊れてしまいますから、そこは充分に注意は払っている今までの4か月ですね。
駒田:去年10月の就任会見ではあるべき監督像について「まだそれは早い」と。今は少しずつ見えてきましたか?
藤川:まだまだ。「人」という部分ではできつつあるんですけど、一番大事なのは「戦う」ということですから。
藤川:業務がまだ始まっていないんですよね、レギュラーシーズンというものが。もう少ししたらオープン戦が始まるので、まずは(相手と)それを戦ってみて。本番ではないけどシミュレーションをしていく上で違った課題が見えてきたら、最初の「人を司る」部分はクリアできたので、今から次のステージに行く準備はできたという。一歩ずつしか進んでいないような気はしますけど。「骨を折る」とはこのことかなという感じがしますね(笑)。
駒田:全ては「人」なんですね。
藤川:全て「人」ですね。選手も人だし、コミュニケーションを大切にしながらやっています。
「プロであれ!」
駒田:選手に「これだけはやって欲しい」ことは?
藤川:やっぱり「プロである姿」。例えばエラーをしてファンの方々が大きなため息をつきます。でも変わらない自分でいて欲しい。エラーをしてため息が出て、ため息に左右されてエラーをしちゃダメなんですよ。エラーは起こることなので、僕からしたら問題ないじゃないかと。歓声に喜び、ため息に精神状態が落ちていく、それはプロではないと。
藤川:周りから見ればいろんな事が起こっていても、自分たちがやることは同じ日々なんだと。タイガースファンはものすごく多くて、僕は自慢なんですよ。ファンの方に喜怒哀楽を全て出して頂いて、僕たちはそこにへこたれもしない、そういうチームにしようと思っています。
駒田:今日の練習でもちょっとミスしただけでため息が・・・
藤川:最高の練習です。ため息がありがたい。あのグラウンドの中で起きていることで喜怒哀楽を楽しむ。その代わり僕たちがやらなければいけないことは、真剣にプレーして、そこに集中して。自分たちが毎日伸びて行こうとする、「明日は打って、3年後にはもっと素晴らしい選手になりたい」と思い続けることが一番大事なので。
駒田:逆に「これはやったら困る」というものは?
藤川:「気がそれる」ということ。プレー中に何か起こっていることに気づかないとか。ウチの選手は年齢層が充実していて、30代中盤くらいから25くらいのレギュラー層がきっちりある。主力選手が気がそれるようなことは無い。主力に混ざる若い選手はまだまだ荒いので、先輩たちがスイッチが入るのを見て学ぶ、それが人を育てるということになる。














