東日本大震災では、被災した宅地が「災害危険区域」となり、人が住むことができなくなりました。こうした土地は、自治体が買い取り事業所の用地などとして民間への売却や貸し出しが進められていますが、活用の見通しが立たないまま残されている地域もあります。

宮城県気仙沼市の南気仙沼地区。草が生えた更地が広がっています。震災で被災し市が管理する土地です。

気仙沼市によりますと、東日本大震災の発生後、防災集団移転事業により、市が買い取った土地は、約116ヘクタール。このうち公共施設の用地への活用や民間へ売却・貸し出したのは、約72ヘクタールです。一方、残りの44ヘクタール訳4割は、活用方法がいまだに決まっていません。

南気仙沼地区にある自動車販売業者。経営者の横田瑞夫さん(83歳)は、震災の津波で工場が被害を受けました。5年ほど前、市から土地を買い、この場所に移って再建しましたが、周辺には、今も買い手のつかない土地が広がっています。

ヨコタオートショップ 横田瑞夫さん:
「人口は少なくなっているし、景気が悪いから仕方ないね」

人口が減少するなか、個人事業主が事業を続けるのは難しくなっていると話します。

横田さん:
「時代の流れで昔のような感じではなくなってきているから、自分で土地もって家もってやっていても高齢化している」

気仙沼市が民間への土地の払い下げを始めたのは、10年前から。条件の良い土地から売却が進みましたが、ここ数年は、低調に推移。市は、ホームページに図面を掲載し、一部は価格も載せて紹介していますが、需要は少ないといいます。

気仙沼市役所新庁舎建設・財産管理課 菅野真一係長:
「土地の多くは、沿岸部に点在していて、狭小地や道路が無い所。一体としての活用が出来ないような土地もあり、なかなか利活用が進んでいない状況」

気仙沼市民:
「企業誘致を盛んに行っているとは思うが、気仙沼の土地柄、難しいのでは。結局、被災した人たちは、山や他の土地に行ってしまい、今になって空いてしまっている」

市は、今後、不動産会社との連携を強化するなどして、土地の売却促進に努めたいとしています。

気仙沼市新庁舎建設・財産管理課 菅野真一係長:
「(気仙沼市)産業戦略課で企業誘致の受け付けをしているので、連携しながら企業誘致の際の土地の利用について、貸し付けや売却を進めたい」

かつての街の賑わいが戻らないまま、今も残る更地。東日本大震災からまもなく14年が経とうとしています。