10月、愛媛県内の蔵元が第2弾となる海外向けの新商品を発表しました。今後、回復が見込めるインバウンド需要や急速に進む円安も追い風に、販路拡大を狙う老舗酒造会社の思いとは。

■“酒米のダイヤモンド”を磨き上げた超高級日本酒

石鎚 純米大吟醸∫-INTEGRAL-
洗練されたスタイリッシュなデザインのパッケージ。10月、石鎚酒造から発売された石鎚 純米大吟醸∫-INTEGRAL-です。

“酒米のダイヤモンド” 愛山
使われているのは“酒米のダイヤモンド”と言われる兵庫県産の愛山。33%まで精米し磨き上げた米を石鎚山系の水で仕込み、透明感のある上品な味わいの純米大吟醸が完成しました。

(石鎚酒造 越智 浩社長)
「昔は経験と勘と言われる、熟練の製造技術者が酒造りをしていた。もちろん私たち技術者が何人もいて酒造りに携わっているが酒蔵デジタルトランスフォーメーションと言って数字に具現化する、酒造りをデータ化して再現性・安定性を求めるところを酒造りに落とし込んでいる」


こうした酒造りの変遷は“積み重ね”を意味する商品名INTEGRAL(インテグラル)や、革新的なイメージの幾何学模様にも表現されています。

■価格は1本2万2000円!狙うのは“世界の富裕層”

1本2万2000円
この新商品の価格は2万2000円と高級路線。ターゲットは海外の富裕層だといいます。というのも…

(石鎚酒造 越智 浩社長)
「主に台湾・中国・アジア圏を中心にここ2年半、国内での売上の減少を海外で補うというわけではないが好調な輸出によって下支えをしてもらったと考えている」

日本酒の輸出金額は10年余りで5倍近くに
2010年に85億円だった日本酒の輸出金額は、和食ブームなどを背景に去年は約402億円と5倍近くにまで伸びています。

石鎚酒造でも売れ行き好調
石鎚酒造でも2019年に発売した海外向け商品の売れ行きがコロナ禍にあっても好調で、総売り上げに占める輸出の割合も、本格的に海外展開に力を入れ始めた5年前の数%から13%にまで増えているといいます。

(石鎚酒造 越智 浩社長)
「円安は輸出においては完全な追い風になってる。これから海外もようやくインバウンド需要、愛媛・松山・道後温泉にもお客様が帰ってくると思う」

6日に開かれた試飲会
好調に推移する輸出とインバウンド需要の回復に期待が高まる中、愛媛県松山市内で開かれた6日の試飲会。地元の宿泊施設や飲食店の関係者らが、華やかで贅沢な味わいを確かめていました。

(飲食店関係者)
「すごく香りが華やかなので食前 最初の一杯に単体で楽しんでもらうのもいいかなと思った」

「瓶が外国向けで世界で受ける感じのデザインになっている」
「高いお酒を飲みたいという富裕層のお客さんは多い。愛媛で一番のお酒、四国でもたぶんこれだけの価格帯のお酒はないと思うので、この味なら自信を持って出せる」

約8割は海外向けに販売
今年度は1800本が出荷される予定で、約8割が海外に、2割は国内向けに販売され、石鎚酒造のほか愛媛県内の百貨店などでも購入できるということです。