世界3位を目指した歴史的な自動車業界の再編は、わずか1か月半で振り出しに戻ることになりました。ホンダと日産は先ほど、経営統合の協議を打ち切ると発表しました。
先ほどから日産の決算会見が始まっています。冒頭、内田社長は協議の打ち切りについて「完全子会社となった場合、自主性はどこまで守られるのか、日産のポテンシャルを本当に最大限引き出すことができるのか確信が持てなかった」と説明しています。
また、日産が先ほど発表した去年4月から今年3月までの一年間の業績予想は、800億円の最終赤字になると発表しました。業績不振に加え、今後の展望をどう切り開いていくのか、内田社長の経営責任を問う声が高まっています。
ホンダ 三部敏宏 社長
「基本合意書を解約し、経営統合に関する協議検討を終了することに両社で合意し、本日、両社取締役会での決議をもって正式に決定しました」
午後5時前から急遽会見を開いたホンダの三部社長。
ホンダと日産は経営統合を打ち切った理由として、EV=電気自動車時代が本格的に到来する中で、意思決定など経営のスピードを優先するためには統合協議を見送ったほうが適切だったとしています。
一方、注目されているのが日産の今後です。いま、歩み寄ってきているのが…
鴻海精密工業 劉揚偉 会長
「鴻海にとっては買収案ではなく、協業です」
台湾の鴻海精密工業。去年末に日産の筆頭株主と接触したと報じられていました。
これは、先月行われた鴻海の春節を祝った大運動会。台湾最大のドームを貸し切り、3万5000人の従業員とその家族が参加しました。
参加者
「従業員みんなで家族を連れて運動会に参加するのは最高です」
鴻海は「iPhone」の受託生産で成長を遂げ、2016年に日本のシャープを買収。今、勢いのある企業の一つです。
去年、シャープが発表した初めてのEV=電気自動車の開発を支援するなど、連携を強化していて、日本市場への進出を狙っています。
そしてEV部門の責任者には、かつて日産トップの座を争った元ナンバー3がいます。去年9月にはこんな発言も…
鴻海精密工業 EV事業の最高戦略責任者 関潤氏
「全部自前でやろうと思っているわけではなくて、必要であればM&Aをやっていく」
気になる今後の見通しですが、ホンダ、日産の幹部ともに「単独では生き残れない」と話しています。
経営統合の協議は白紙となりましたが、今後もEVやソフトウェアで協力を続けていく予定だと、含みを持たせています。
ただ、ホンダの幹部は「仮に日産がホンハイと手を結んだら、技術流出などの観点から協業は難しい」との見方を示していて、日産の経営は難しい舵取りを迫られています。
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