毎年数百人規模の死者
一方で、ボートでの航行は、危険と隣り合わせ。たびたびトラブルに見舞われます。コンゴでは、整備不良や定員を大幅に超える過積載などに伴う沈没事故が後を絶ちません。
2024年12月には、複数の転覆事故で少なくとも60人が死亡し、100人以上が行方不明となりました。毎年数百人規模の死者が出ることから「死のボート」とも呼ばれています。

女性
「首都キンシャサに来るにはボートか飛行機しか、移動の選択肢はない」
「(Q.でも飛行機は高いですよね)高すぎます」
日本にとって遠く離れた異国のコンゴ。実は、私たちにとって身近な存在でもあります。
世界で需要が急拡大しているスマートフォンなどの電子機器や、EV=電気自動車のバッテリー。コンゴは、この製造に欠かせないレアメタル「コバルト」の産出量世界一を誇る資源大国なのです。ではなぜ、国民はその恩恵を受けることができないのでしょうか。

反体制派活動家 ジャック・イソンゴ氏
「資金は、権力者の懐に流れています。権力者は、道路などのインフラ整備をせずに汚職や横領を行っているのです」
コンゴでは「鉱物資源」の支配をめぐり、隣国ルワンダの支援を受けたグループなど100を超える武装勢力の争いが続いていて「世界最大級の人道危機」と言われています。長年続く紛争と政府による汚職の蔓延が、搾取の構造を生み出しているのです。

反体制派活動家 ジャック・イソンゴ氏
「コンゴの人々は汚職の中に、汚職とともに、生きているんです。ほかに表現のしようがありません。悲しいけどそれが現実です」
世界中がコンゴの豊かな鉱物に依存する中、そこで暮らす人々は、豊かさとは遠いところにいます。