先月から反政府武装勢力による攻撃が激しさを増しているアフリカ中部・コンゴ民主共和国。そのコンゴで、重要なインフラとなっているのが巨大なボートですが、沈没事故が相次ぐことから、「死のボート」と呼ばれています。危険なボートを使わざるを得ない理由とは、何なのでしょうか?
“死のボート” に乗る理由

街は恐怖と混乱の中にありました。1月、コンゴ民主共和国・東部の主要都市を反政府武装勢力が掌握。暴動は首都の各国大使館にも及びました。国連の報告によると、今回の衝突で少なくとも3000人近くが死亡、先月だけで40万人が避難民になりました。30年近く続くこうした紛争が、コンゴの人々の生活を脅かしています。
首都キンシャサの道路事情は劣悪。雨が降ると、なおさらです。

記者
「タイヤが半分くらいまで浸かってしまっています」

青年
「(Q.大丈夫ですか)キンシャサではいつもこんな状態だよ」
「とても大変です」
コンゴの国土は日本の6倍にあたるものの、舗装された道路は、わずか2%です。

記者
「これで進んでいるのがすごい。人がすし詰め状態で乗っている」
陸路のかわりに市民の重要な交通網となっているのが「コンゴ川」。国をまたがるようにして流れ、アマゾン川に次いで、世界で2番目に大きい川です。

「巨大なバージと呼ばれる鉄板、『はしけ』です。これがこのまま船のエンジンに引っ張られて2、300人を乗せて出航する」
実際にボートに乗ってみました。
記者
「たくさんの人が集まって、まさに出発間近というところ」
ところがボートは、一向に出発しません。燃料が足りないそうです。

妊婦の乗客
「(Q.どれくらいここにいるんですか?)1か月半います」
「(Q.ここで?)そうです」
その後、ようやく出発。予定から約1か月半が経っていました。

巨大な鉄板を4枚繋げ、全長200メートルほどになったボート。最後尾につけた別のボートのエンジンだけで、押し出すようにして進みます。300人を乗せたボートは、およそ1か月かけ、キンシャサから1700キロ離れた終着点の街を目指します。ボートには、どんな人が乗っているのでしょうか。

乗客
「ここ(首都キンシャサ)にはトウモロコシを売りに来ました」
「地元でトウモロコシ、お米、キャッサバを育てています」
乗客
「地元に戻ります。ここ(キンシャサ)は、すごく大変だから、もう我慢できません。ここでの生活は厳しすぎるのでやっていけません」
航行は長い時間に渡るため、人々は、様々な形でボートの上に生活の場を作ります。


記者
「キャッサバの葉をつぶしています」
「ラジオとソーラーパネルを売っています」