「手と足を一緒に動かすことができない、足を前に出すところを後ろに出してしまうとか、『君のことやで』と個別に注意しないと、ずっと間違えたままになっている。」

境界知能と非行には直接の因果関係はない。

■「社会は自由すぎて…」難しい境界知能の更生

少年院に入って4か月。強盗事件の指示役をやって捕まった少年は、教官の指導を受けながら、集団生活を通して少しずつ自分の問題に向き合い始めている。それでも更生にはまだ時間が必要だ。

(少年)「社会は自由すぎて、自分の好きなことをしてしまうんで、制御できない部分とかもあるんですけど。少年院か社会かどっちがいいかと言われれば社会なんでけど、少年院生活も悪くないなって思っていて、3食出るのはいいなって思ったりして。現実逃避というか、何も考えなくていいんで楽な部分もありますね。それでも今は自分の中で毎日何か新しい気づきがあったり、人のために何かするのも悪くないなと思えて。」

本人の特性や家庭環境などの影響から、反省が進まない少年は少なくない。

(法務教官)「昔はいわゆるやんちゃな少年、集団で悪さをする子が多かったんですけど、今は人との関わりがうまくいかない中で孤立感を深め、あまり考えずに流されるまま、安易に犯罪に手を染める子が多くなっています。家庭や学校の中で、理解されない中で、傷ついてきたんだろうなと感じる子は多いです。」

担当の法務教官

また、「境界知能」であるからこそ、更生の難しさを痛感すると話す。