さまざまな現場で人手不足が課題となっていますが、地域の足をどう確保するか…東御市の会社が課題解決のためスタートさせたタクシーを使った高齢者の送迎システムを取材しました。
東御市の合同会社「まるごと」の中島貴史さん:
「タクシー業も経験ないですし福祉業界も関わったこと一切なかったんですけど、なんかいつの間にやらこういう事業をやっているような感じですね」
東御市の合同会社「まるごと」は、東御市内の福祉施設などから委託を受けて施設に代わって、高齢者などの送迎を行っています。
以前は保険代理店の営業などをしていましたが、知人の誘いを受けて「まるごと」に転職し24年10月に2種免許を取得しました。
東御市の合同会社「まるごと」の中島貴史さん:
「コロナ禍でも皆さん実感あったかと思いますけど、人が動くというのは社会にとっては非常に大事なことだと思うので、そこに参加できなくならないように高齢な方とか交通に困難を抱えている方を助けるシステムというのは基盤がないといけないと思う。大事な事業だとは思ってはいるんですけどそれをいかに継続させるかという取り組みをしている感じですね」
「まるごと」は東御市内のひとつの法人と契約を結び、中島さんを含む職員4人が3台の車両で平日の朝と夕方のおよそ4時間、デイサービスや就労支援施設の利用者の送迎を行っています。
また、日中は要介護者やひとりで公共交通機関を利用できない人などを対象にしたタクシーとして稼働させています。
中島さんは柔軟な働き方ができる体制を生かしてドライバーを確保。日中は稼働しない福祉施設の車両なども活用することで独自の交通網を作りたいと考えています。
国の補助金を受けて、去年の11月に市と協力し無償での実証運行をスタート。
今月からは有償で本格的な事業に乗り出しました。
中でも安定した収入が見込める委託送迎は事業を継続していくための柱です。
今後、契約を増やしていくために事業者の業務の効率化と、引き継ぎをスムーズに行えるようデジタル技術を導入しています。
福祉に特化した送迎の支援システムには、乗り降りする場所や申し送り事項など利用者の情報をあらかじめ入力しておきます。
すると、AIが送迎の順番やルートを一瞬のうちに生成。ドライバーはスマホのアプリを使って、道順や利用者一人ひとりの注意事項を確認することができます。
みまき福祉会では現在、送迎の7割近くを「まるごと」に委託しています。
みまき福祉会伊藤聡さん:
「今後うちの事業所でも起こるであろう職員の人口減少とかという状況を鑑みると、送迎の委託をしていくことで介護職が介護の本質的なケアに注力できるんじゃないか」
みまき福祉会 宮澤優里さん:
「今までホワイトボードとかで名前の磁石とかを使ってアナログで送迎の配車を組んでいたんですけど、デジタル化したことでかなり時間の短縮ですとか、よりわかりやすく出せるようになった」