去年1年間の特殊詐欺の被害額が過去最悪の721億5000万円となり、3年連続で増加したことが警察庁のまとめでわかりました。
オレオレ詐欺などの特殊詐欺の認知件数は、去年1年間で2万987件と前の年と比べて1949件増え、過去10年で最多となりました。
被害額は過去最悪の721億5000万円で、3年連続で前年を上回り、依然として深刻な状況が続いています。
特殊詐欺の内訳では、オレオレ詐欺の被害額が452億8000万円と最も多かったほか、警察官をかたって現金をだまし取ったり、国際電話番号を使ったりする手口が増加しているということです。
また、日本だけでなく世界中で深刻化している「SNSを使った投資詐欺」や、恋愛感情を抱かせて金をだまし取る「ロマンス詐欺」の被害が大幅に増加しました。
投資詐欺の認知件数は、去年1年間に全国で6380件で被害額は871億円と、前年のおよそ3倍に上りました。
500万円以下の被害がおよそ半数を占めるものの、1億円以上が94件あり、最も高額なものでは、8億900万円の被害があったということです。
被害者の半数以上はインスタグラムやフェイスブックなどで、「投資家」や「芸能人」をかたるバナー広告やダイレクトメッセージを通じて投資を誘われていて、その後、大半がやり取りの場をLINEに誘導され、だまされていました。
一方、外国人などを名乗り、SNSやマッチングアプリで恋愛感情を抱かせた上で金をだまし取るロマンス詐欺の認知件数は3784件で、被害額は397億円と前年のおよそ2倍に上りました。
ロマンス詐欺も、1億円以上の被害が36件あり、被害の最高額は2億4000万円でした。
男女ともにフェイスブックやインスタグラムに加えて「ペアーズ」などのマッチングアプリでの接触が多く、その後は、投資詐欺と同じく大半がLINEでのやり取りに移っていたということです。
投資詐欺とロマンス詐欺は、1件あたりの平均被害額がいずれも1000万円を超えていて、被害額は前の年から812億8000万円と急増し、あわせて1268億円に上りました。
詐欺グループの間で急増している手口がインターネットバンキングで振り込ませるケースです。
SNSを使った投資詐欺とロマンス詐欺での全ての振込、そして特殊詐欺の500万円以上の振込による被害額のおよそ7割がインターネットバンキングを利用したものでした。
警察庁によりますと、インターネットバンキングは、ATMや窓口と比べて利用限度を簡単に引き上げられるうえ、周囲が被害に気づきにくく、繰り返し送金してしまうため被害が高額になるということです。
また、詐欺グループはスマートフォンなどで現金を引き出せることから、「受け子」や「出し子」を用意する必要がなく、捜査の手がかりとなる証拠が少なくなり追跡捜査が難しくなるということです。
警察庁は、インターネットバンキングの口座開設や送金を執拗に要求してくる電話への注意を呼びかけた上で、金融機関には不正な取引を検知する「取引モニタリング」の活用を働きかけています。
警察庁は先月17日、ゆうちょ銀行と協定を結んで被害の拡大防止を推進していて、今後も別の金融機関とも連携して対策を強化していきたいとしています。
警察庁は特殊詐欺対策として去年4月、「特殊詐欺連合捜査班」=通称「TAIT」を発足し、7つの都府県警に500人規模の専従捜査員を配置しました。
警察庁によりますと、去年4月から12月の間でTAITへの捜査共助依頼は3567件あり、TAITを活用して検挙に至った事案は322件あったということです。
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