■「親に許可を取れば体罰しても良いという解釈が非常に悪質」専門家

スポーツ社会学者 溝口紀子氏:
なぜこういった暴力がスポーツ界からなくならないのか。10年前から言っていても、まだ現場では行われている。
さらに私が悪質だなと思ったのは、親に許可をもらっているという解釈。親に許可を取れば殴ってもいいというところが、もう本当に教師として、指導者としての資質がないと思います。

恵俊彰:
また「一発たたいていいですか?」という言葉も、何か日常的にこういうことがあったのかなと思わせるような表現ですね。

スポーツ社会学者 溝口紀子氏:
常習性というか。他の生徒さんは大丈夫なのかなという感じがします。校長先生の記者会見を見ると、なにか歯切れが悪いというか、何か他にもあるんじゃないかと。こういったこの先生の体質を知ってるんじゃないかと、そんなふうにも見受けられますね。

恵俊彰:
この生徒さんは全治1か月のけが、それから心の傷も負っていると思いますし、それを見た周りのソフトボール部のメンバーも、大きなショックを受けていると思います。いまだにこういうことがあるって信じられないです。

落語家 立川志らく:
その場で感情的になってやったのではなく、冷静に親に「叩いていいですか」と言っている。大体こうやって暴力を振るうというのは、言葉で教育することができない、その能力がないから手が出るという判断をした方がいい。
もしかしたら普段はいい先生なのかもしれないけど、教師としては失格ですよね。

■大会には優勝するも「ソフトボールをやめる」

体罰が行われた次の日にも準決勝と決勝の試合がありました。この女子生徒は試合には出ることができましたが、試合の前には頭を叩かれたり、おしりを2回蹴られました。
この地区大会では結果的にチームは優勝しましたが、女子生徒は「ソフトボールをやめる。ユニフォームは着ない」と話しています。
精神的なショックを受け、現在も登校することができなくなっているということです。
女子生徒側は学校に対し、警察に被害届を提出する意向を伝えています。

恵俊彰:
勝てばいいのか、という話なんですけれども、なんとなく話を聞いていると、子どもたちを恐怖で支配しているような気がします。

弁護士 八代英輝:
例えば私立で強豪校と言われるようなものになると、部活の先生に学校側もあまり強く言えないというような体質ができてしまって、今回もそういった関係性があったんじゃないかとうかがわれます。
「体罰」という言い方自体をもうやめた方がいいんじゃないか。
れっきとした犯罪で、傷害行為
ですから。学校の中で行われて許されるものではないです。

■“暴力指導”をする指導者には周りからの働きかけが必要

男性教諭は、2018年からソフトボール部の顧問を務めて現在5年目。生徒に対しては熱心で、いわゆる熱血漢な教員だと会見では説明しています。

姫路女学院高校 摺河祐彦校長:
自分にも厳しい教員で、生徒に対しても厳しくあたる傾向があったのではないかと、日頃の様子を見ていて思う。」

他の生徒に対しても「暴言があった」という話もあり、引き続き聞き取り調査を行って、この教諭に対し懲戒処分をする方針だということです。

スポーツ社会学者 溝口紀子氏:
暴力指導というのはドーピングみたいなもの。一時的に脅したり脅迫するなど、恐怖で支配することで、指導しやすいという一面があるんですね。でもやはりドーピングと一緒で、常習性というか、段々エスカレートしていきます。
暴力指導をする指導者は、指導力不足であることを自明なものにしていますので、もう周りからダメだと粘り強く言うことと、怒りをコントロールするような研修をもっと現場ではしていくべきだと思います。

恵俊彰:
そして何より、今学校に行けないという状況の彼女を何とかケアしていただいて、早く学校に行けるのが一番ですよね。

(ひるおび 2022年10月4日放送より)