老舗が「八丁味噌」を名乗れない事態とは?
ことの始まりは2017年。農水省が良質な特産品をブランドとして保護する「GI(ジーアイ)=地理的表示保護制度」に関する問題です。
「カクキュー」と「まるや八丁味噌」の2社で作る組合=「八丁味噌協同組合」は、「八丁味噌は岡崎市で木桶を使うなど伝統的な製法で生産したものに限る」としてGI制度への登録を申請していましたが…。


農水省は愛知県全域を生産地として、木桶だけでなくタンクを使った現代的な製法で作る37社からなる「愛知県味噌溜醤油工業協同組合」を”GI制度”の生産者に登録したのです。

「八丁味噌を守りたいという一心」で老舗が提訴
これに対して老舗側は2018年に。
(八丁味噌共同組合 早川久右衛門理事長)
「お客様を混乱させるものであり極めて不当だと考える。私どもが今回このような判断をした理由は、長年お客様に受け入れられてきた『八丁味噌を守りたい』という一心のみ」

老舗2社のうち「まるや八丁味噌」は、国の方針を不服としてもう一つの組合の生産者登録を取り消すよう求めて提訴したものの、去年3月に敗訴が確定しました。

このため、2社は来年2月以降は「八丁味噌」を表示できなくなるおそれがありました。あらためて30日、老舗2社に今の思いを聞きました。
(まるや八丁味噌 浅井信太郎代表取締役社長)
「不思議だなと、残念だなどうしてそんなことが起こったのかと」
(カクキュー八丁味噌 野村健治企画室長)
「名称と作り方を合わせて理解されているので、名前がなくなるとこだわり製法で造っているのがわからなくなってしまう」

結局、老舗2社は「八丁味噌」を継続して表示するために去年7月、愛知県全域を生産地としてブランド保護するという国の方針を受け入れ、GI登録を再申請しました。














