アメリカのトランプ政権が打ち出す関税の強化は、中国企業の“東南アジアシフト”を加速しそうです。現地では安価な中国製品の流入への懸念と、新たな投資への期待が交錯しています。
タイの首都バンコクのマーケット。店頭に並ぶ電子機器などの商品のほとんどが中国製です。
記者
「このへんはドライブレコーダーが売られていますね。安いもので500バーツ、日本円で2000円ぐらいで購入できるので、結構安いですね」
東南アジア諸国では近年、低価格の中国製品の輸入が急増。ASEANの対中国貿易赤字はおととし、およそ1200億ドルとなり、10年で8倍以上に膨らみました。
中国での過剰生産や米中の貿易摩擦などの影響で、中国企業が東南アジアへの販売攻勢を強めているのです。
タイのマーケットの販売店経営者
「タイは中国企業が狙うマーケットのひとつであり、今後も中国製品は間違いなく増えるでしょう」
そして、中国製品の流入に拍車をかける可能性があるのが、トランプ大統領の「関税」です。
アメリカ トランプ大統領
「中国に対して10%の関税を課すことを検討しています。(Q.いつから開始しますか?)おそらく2月1日になります」
トランプ政権が中国製品に追加関税を課せば、アメリカへの輸出が減り、かわりに東南アジアへの輸出がさらに増える可能性があるのです。
タイ中小企業振興協会 サンチャイ会長
「中国製品のさらなる流入はタイ企業の存続を脅かし、結果としてタイのGDPが目標に届かず、伸び悩むことも心配されています」
一方、米中間の貿易競争は新たな投資のチャンスにも。
記者
「タイで最大規模の工業団地に来ています。こちらはEVなどを生産する中国企業の工場です。かなり広い土地で、いまも建設作業が続いています」
タイ東部の工業団地では、トランプ政権の発足前から生産拠点の移転を希望する中国企業の問い合わせが急増。中国語の通訳を急きょ増員し、対応しています。
工業団地開発企業「WHA」 パジョンウィットCEO
「トランプ大統領の就任で中国から移転する企業がさらに増加すると考えられ、タイの経済にとってプラスになるでしょう」
東南アジアでは近年、中国を迂回する貿易ルートとしてアメリカへの輸出が拡大。米中対立の影響で生産拠点を移転してくる半導体メーカーも増えています。ただ、トランプ政権の関税政策には不安要素も…
第一生命経済研究所 西浜徹 主席エコノミスト
「(トランプ氏は中国製品だけでなく)『全ての輸入品に10~20%の追加関税を課す』ということを言っています。となると、アメリカ向けの輸出が拡大することで米中摩擦の漁夫の利を得ていた国にとってみれば、思わぬ形で後ろから攻撃を食らうような形になると」
来月から本格化するとみられる「トランプ関税」は、東南アジア経済の行方も大きく左右しそうです。
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