“トラブル”発生後も起用 なぜコンプラ室通さず対処?

井上キャスター:
なぜ中居さんを起用し続けたのでしょうか。

2023年4月に放送開始となった「まつもtoなかい」は、中居さんと女性にトラブルが発生した2023年6月以降も中居さんを起用し続けました。その後も、2024年7月のパリ五輪の特番や、12月のスポーツ特番でも起用していました。

「まつもtoなかい」を終了させなかった点について、上野広報局長は「唐突に終了することで憶測を呼ぶことを憂慮し、番組を中止するような大きな動きを作ることを控えたいという考えがあった」といいます。

さらに番組起用が続いた点については、「社内での情報共有も限定されていたことから、他の単発番組への出演が続いておりました」としています。

港前社長によると、「女性のコンディションがそんなに良くないという状況がありまして、動きがあることが、どういう刺激になってしまうのか本当にはかりかねる状況で、ずっと判断が難しいことでした」ということです。

企業体制としては、コンプライアンス室がしっかり機能していくことが望まれます。

コンプライアンス室を通さなかった理由について、▼彼女の心身の状態を最優先にし(少人数でという本人の希望)、▼医師や接触した社員の判断の結果、少人数で職場復帰できるまで寄り添うことが一番最善だとしたとしています。

港前社長は、「コンプライアンスにあげていくと、やはり知る者が多くなる。何か刺激が起きたらといろいろ考えてしまい、コンプラにはあげないで進めてきました」といいます。

コンプライアンス室の役割としては、会社が法律やルール違反をしないよう監督する部署で、営業局や人事局、総務局などとは独立しています。一般的には社長室直轄でコンプライアンス室を設置し、会社の機密情報などを扱う独立した特別な現場だということです。

少人数で扱うからコンプライアンス室を通さないとなると、コンプライアンス室の存在意義がなくなってしまうように感じます。

河西 弁護士:
コンプライアンス室に報告しなかったというのはかなり問題で、コンプライアンスを軽視しているのではないかと感じてしまいます。

コンプライアンス室に話をして、そこから漏れてしまうことを懸念している節がありますが、ある意味、社長自身が内部のコンプライアンス室を疑っている状況で、港前社長が「ルールを守ろう」という点について、真向から否定してしまっている可能性があると思います。

その結果、会社内部において、港前社長と一部の人間は中居さんと女性のトラブルを知っている一方で、特番などの番組を制作するチームはトラブルを知らないために、中居さんに特番のオファーしてしまうといったあべこべの状況になり、組織の中で矛盾してしまっています。

この原因の一つが、まさに港前社長のコンプライアンス室に、中居さんと女性のトラブルを報告しなかったことにあると思います。

ホランキャスター:
トラブルを扱う専門の部署が知らず、専門じゃない人たちが情報を扱うことの危なさもありますね。

元競泳日本代表 松田さん:
そういう危なさは本当にあると思いますし、女性側からの「少人数で」という要望があっても、少人数でどのようにガバナンスを効かせた状態で問題に対処するかというところを組み立てていく必要があったのではないかと思います。

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<プロフィール>
河西邦剛さん
レイ法律事務所パートナー弁護士
芸能・エンターテインメント分野の法律問題が専門

松田丈志さん
元競泳日本代表 五輪4大会出場 4個のメダル獲得
JOC理事 宮崎県出身3児の父