ナチス・ドイツによるユダヤ人らの大量虐殺が行われたアウシュビッツ強制収容所。生存者がJNNの取材に応じ、ユダヤ人らが感じる「新たな不安」について語りました。
エヴァ・シェペシさん(92)。今から80年前、ナチス・ドイツによってアウシュビッツ強制収容所に送られました。
アウシュビッツ生存者 エヴァ・シェペシさん
「私はいつもお腹が空いていました。いつもです。隣で横たわっていた人たちは死んでいました」
ハンガリーに住んでいたエヴァさんは11歳の時、迫害から逃れるため家族のもとを離れました。
エヴァ・シェペシさん
「駅で別れる時、息ができないほど母は私を強く抱きしめました。母は目に涙を浮かべていました。母や弟を見たのはそれが最後でした」
その後、ナチスに見つかり、アウシュビッツに連れていかれたエヴァさん。左腕には今も収容所で強制的に刻まれた番号が残っています。
エヴァ・シェペシさん
「これがアウシュビッツなのです。私が生きている限り、ここにあります」
ポーランドにあるアウシュビッツ強制収容所では、解放から80年を迎えた27日、式典が行われました。
式典では生存者の一人が登壇し、こう訴えました。
アウシュビッツ生存者
「私たちは記憶にとどめるだけではなく、憎しみがさらに憎しみを生み、殺人がさらなる殺人を生むということを警告し、教える義務があります」
イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの報復攻撃。多くの人が犠牲になりました。
今はドイツに住み、自身の経験を伝える活動をしているエヴァさんは、ガザでの戦闘開始を機に、「ユダヤ人」というだけで再び怯えて暮らさなければならない日々が始まったといいます。
エヴァ・シェペシさん
「孫の(ユダヤ系の)学校には、パトカーがいつも止まって警備しています。ユダヤ人にとって、とても恐ろしいことです」
実際にドイツでは、ユダヤ教の施設に火炎瓶が投げ込まれる事件なども起きています。
ベルリンにあるユダヤ教の礼拝所「シナゴーグ」を訪れてみると…
記者
「ユダヤ教のシナゴーグですが、かなり警備が強化されています」
今、ドイツでは極右政党が台頭し、人種差別や反ユダヤ主義への懸念が広がっていて、エヴァさんは「あのような歴史を繰り返してはいけない」と訴えています。
エヴァ・シェペシさん
「おかしいと思ったらそれに対抗すること。黙っていてはいけません」
繰り返される憎悪。今だからこそ、その記憶を伝えようとしています。
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