“私立人気”加速で公立が危機?
熊崎風斗キャスター:
高校教育無償化については様々な議論があります。東京や大阪などでは独自の制度として既に行われています。

▼東京都(2025年度から)
*所得制限なし
*私立を含め授業料が“実質無償化”(全日制・定時制の場合)
※都が上限48万4000円を助成
▼年間授業料(2024年度)
*都立:約12万円(一律)
*私立:約48万円(平均)
親の経済状況に左右されずに進学先を選べる「教育の機会均等」になるのが売りでした。

都立高校の志望率は、無償化になる前から徐々に下がってきている傾向にありました。一方私立高校の歩留まり率、合格者の何%が入学したかは徐々に上がってきています。(私学振興事業団調べ)この傾向がより強くなってくるのではないかと言われています。
(東京都教育委員会HPより)
私立には多くの魅力があるということで、
▼私立高校を選んだ理由
*大学などの進学実績
*施設・設備が充実
*学習指導が充実 など
お金関係なくみんながいけるのはいいのではないか。しかし私立の倍率がどんどん高くなっていくことで、更なる教育格差拡大を招くのではないかと言われています。

▼高所得の家庭
今まで払っていた高校の授業料の負担が軽減。その分を塾の費用にまわせるように。
▼低所得の家庭
学校の選択肢の幅は増えるが、激化した私立高校の競争を勝ち抜かなければならなくなる。

都立高校としては定員割れが増える可能性も出てきています。ZENT進学塾代表の武田知也さんは「(高校の無償化の前から)東京都では生徒募集に苦戦したり、選択肢に上がりづらい都立高校があり、その傾向がより加速したのかな」ということも指摘されていました。学びの場が減ってしまう可能性も懸念されています。
井上貴博キャスター:
今、東京と大阪が高校授業料無償化を先行しているので、自治体の差をどうやって埋めていくのか。今話にありましたが都立・公立が厳しい中で私立との差をどう埋めるのか。教育にかかるお金は授業料だけではないので、低所得世帯への支援もしていかないと。

歴史・時代小説家 今村翔吾さん:
確かにそうですね。しかし際限なく授業料を上げてしまっても、それが全て無償化になっていくことは多分今後なくなっていくとは思います。超高級な私学ができる可能性ももちろんあるわけですよね。そうなるとどんどん学校の設備の差などは開いていくので、やるのであれば都立に対しての税金の入れ方や施設の充実など、バランスをとっていく必要が絶対出てくると思います。
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<プロフィール>
今村翔吾さん
「塞王の楯」で第166回直木賞受賞
歴史・時代小説家 30歳までダンス講師