泡盛がユネスコの無形文化遺産に登録され、沖縄の酒造りにも注目が集まる今、酒造業界を牽引するキーパーソンとして期待が寄せられている仲里彬さんをご紹介します。仲里さんが見つめる沖縄の酒造りの未来とは。
先月、ユネスコ無形文化遺産に登録された日本の「伝統的酒造り」。沖縄の泡盛をはじめ、各地の風土に応じて受け継がれてきた技術が世界から注目を集める今、沖縄の酒造りの未来を担う者として期待が寄せられているのが、仲里彬さん(37)です。
仲里さんは去年、ラム酒造りのプロジェクトリーダーとして国内の酒造業界で最も権威のある賞のひとつ「洋酒技術研究会賞」を受賞。国産ラムとして初の快挙となりました。
▼仲里彬さん「あ~もううれしい、ただうれしい。本当にいいのかなというところと、技術プラスアルファの部分が評価されたと感じている」
那覇市首里の瑞穂酒造の一角にある小さな試験室。ここが、仲里さんの仕事場です。
「基本的にこの酵母をいじるときは白衣で」
今回、仲里さんらのラムが高く評価されたわけ。それは、発酵に使われる「酵母」にあります。ラムを製造する際、市販の外国産酵母を使うのが一般的ですが、仲里さんは、よりラムに適した酵母を研し、自社のさとうきび畑から新たな酵母を取り出すことに成功しました。

さらに、蒸溜した後に残る液体=ダンダーを廃棄せずに活用する国内初の製法を確立し、より豊かな味わいを実現。こうした技術が高く評価されたのです。
「沖縄の自然界にそれ(酵母)を求めたいという研究的な観点もあるし、沖縄のものづくりとしてのロマンもあるなと考えてはいて、そこも手を抜かずにやろうと思ってしまって大体自分の首を絞めていく」
トム・クルーズ主演の映画「カクテル」などの影響でお酒に興味を持った仲里さん。高校卒業後、東京農業大学へ進学し醸造学を専攻。麹菌の研究などに励みました。瑞穂酒造に入社後、ジンの開発に関わったことがひとつの転機だったと振り返ります。
▼仲里彬さん「ひとつ自分が着手した世界がもう世界基準のお酒であると、グローバルなものづくりを手掛けた瞬間にライバルが世界中の方々になった。自身の技術やスキルアップをもっとスピーディーに進めていかないと絶対世界に追い付かないだろうなという危機感を持った」