地域住民待望の道路が3年ぶりに通れるようになります。
2019年10月の台風19号による豪雨で、寸断された宮城県の県道・丸森霊山(りょうぜん)線が9月30日に通行止めが解除されます。
県の最南端に位置する丸森町筆甫と町の中心部を結ぶメインルートの通行再開でアクセスは大きく改善します。

間もなく通行が再開される県道丸森霊山線。通行止め区間の北端は、不動尊公園キャンプ場前です。
この日は、県の担当者の案内で通行止め区間に入ることを許可されました。


県大河原土木事務所・滝深光昭さん:
「今はきれいに護岸ができているが、被災当時はあの道路がほとんどなくなっていてこちらから先は歩くことができないような状態だった」


2019年10月丸森町の豪雨2019年10月、県内の広い範囲で記録的な豪雨を観測した台風19号。


丸森町筆甫も局地的な豪雨となり、降り始めからの総雨量は607.5ミリに。地区外に通じる全ての道が通れなくなり、一時、孤立状態となりました。


県道・丸森霊山線の通行止め区間は阿武隈川の支流、内川沿いに伸びるおよそ4.8キロ。
被災直後に県がドローンで撮影した映像です。豪雨は道路に面した山の土砂を押し流し、川は氾濫して道路を支える地盤を削り取りました。


県大河原土木事務所・滝深光昭さん:
「工事の前には軽トラックとか軽乗用車くらいの岩がゴロゴロと川の中にあった」


道路沿いを流れる内川、至るところに巨大な石が転がります。
阿武隈高地の地質には花こう岩が多く含まれていて、豪雨によって削られたのり面や川の上流から無数に転げ落ちました。
破砕処理や搬出に多くの時間と手間が必要でした。



丸森小学校の帰宅する子どもたちが揃って向かう先は、スクールバス乗り場。4月から町内5つの小学校が1つに再編され、スクールバスを利用する児童が半数を占めます。


旧筆甫小学校学区からスクールバスで通学している4年生の岡田海礼さん、スクールバスに乗り込みました。

海礼さんを乗せたバスは、う回路となっている別の県道と町道を通り、筆甫までのルートを進みます。
かかった時間は20分あまり。県道・丸森霊山線の通行止めが解除されれば大幅な時間短縮が望めます。


岡田海礼さん:
「帰る時間が早くなって、すぐ家に帰れるからいいなって」

地域の振興連絡協議会で代表理事を務める庄司一郎さん。幹線道路の通行再開を喜びます。

筆甫地区振興連絡協議会・庄司一郎代表理事:
「筆甫から町中心部に通じる幹線道路となっているので、一番重要な道路という位置づけになっている。
やはり勤め人とかスクールバス、高校に通っている人はバイクでも通っているので、時間の短縮というのは一番大きい面だと思う」


村井知事は2月、被災から3年を前に通行止めを解除すると表明、災害復旧工事は集中的に進められました。

県大河原土木事務所・滝深光昭さん:
「一日も早い復旧をということで何度も声をいただいていた。やっとその願いがかなって。早く工事を終わらせることができたので、そこは地元の人に喜んでもらえると思う」


待望の開通まであとわずか。10月15日には地元住民らが筆甫産の桑の葉のお茶やそばを味わえる催しを開いて開通を祝うことにしています。