今年さらなる活躍が期待される人たちにいい形で新年のスタートを切ってほしいとの願いを込めて、新春インタビュー「StartDash」をお送りしています。2回目は、去年出版したミステリー作品が話題となっている作家の南海遊さんです。
(盛岡文士劇のセリフ)
「厨川の柵が燃えておる~!」

去年行われた盛岡文士劇時代物で、主役となる藤原清衡役を演じた盛岡市在住の作家・南海遊さん38歳。
激しい動きの殺陣のシーンをはじめ、清衡の苦悩や葛藤を見事に演じ、感動を呼びました。
(盛岡文士劇について)
「文士劇なので、まず文士が舞台の主役にならなきゃいけないよねっていうのは、文士劇の皆さんがおっしゃってたので、なんとなく、僕もようやく文士の1人として認められたのかなというのはちょっとうれしかったなと思う。
いろんな人と長期間一緒に一つのものに向かって行くので、それってなんていうのかな部活動みたいな。人の距離感とかというのも、新しい視座で、視点でみることができるので、それはすごく価値観の変革になったなってのは感じている」

高校生の頃から小説を書いていたという南海さんは秋田県横手市の出身。
盛岡大学への進学を機に岩手に移り住みました。
2018年、会社員として働く傍ら、小説「傭兵と小説家」で星海社FICTIONS新人賞を受賞し、翌年、作家としてデビュー。
現在も会社員の仕事を続けながら作家として活動しています。
(南海遊さん)
「働きながらいろんな情報をいろんな人と出会ってインプットがあるのでそれからアウトプットができるって考えるとやっぱり二足のわらじってのは悪いことばかりではないかなと思ったりはしてます。小説の方の締め切りと、お仕事の方の締め切りが重なるようなこともあるわけですよね。なるべくそうしないようにマネジメントをしながら両方の仕事をしてるっていういう感じですね」

そんな中、去年出版した自身3冊目にして初めての本格ミステリー小説、「永劫館超連続殺人事件魔女はXと死ぬことにした」がさまざまな出版社によるミステリー作品のランキングで高い評価を受け話題となっています。
(南海遊さん)
「なぜミステリーを書こうと?出版社さんから書いてみませんかっていうふうにお誘いを受けまして。
(この本が書き上がったときの手応えっていうのはどうだったんですか?)
面白いものが書けたなっていう手応えはあったんですけど、ただ本格ミステリー小説を書くのが初めてだったので、本当にちゃんとミステリーとしてかけてるのかなってすごく不安でした。
だから刊行した当初は僕、すごい検索したんですよね。感想大丈夫だったのかなっていうのを検索して。面白かったよという感想を見つけ、うれしいよりもどちらかというと安心の方が強かったなっていうところですね」
南海さんの作品の強味でもある魅力的な登場人物や異国情緒あふれる世界観。
さらに緻密に計算されたトリックで読む人を引き込みます。
今作の好評を受けて、2月には新作のミステリー、「パンドラブレイン亜魂島殺人(格)事件」が発売される予定です。

(南海遊さん)
「大変でした。書くのが大変でした。なんでこんなに僕詰め込んじゃったんだろうと。なので詰め込みの量で言うとこれをしのぐと思いますので、密度の濃いミステリーにはなってるんじゃないかなとは思います」
取材したこの日は仕事が休みでしたが、日中は働いているため、原稿を書くのは夜中が多いといいます。
(かなり早いペースでキーボードを打っているんですけど、いつもこんな感じ?)
(南海遊さん)
「書くときはこのぐらいのペース。書くの自体は、文章が頭に浮かべば、だだだっと書けるんですけど…
(詰まることも?)
詰まります。今まさに詰まっています。この次の文章どうしようみたいな」

筆が進まないときには、ゲームで頭の中をリセットし、再びパソコンに向き合います。
文士劇での主役、ミステリー作品での手応えといった去年の活躍で、作家としての自信を深めた南海さん。
さらなる飛躍を目指す今年、目標とするのは?「届ける」です。

(南海遊さん)
「新しい作品いろんな作品を読者のもとに届けたいなっていうのが一つと、今回ランキングにいろいろ載せさせてもらって、ようやく全国の皆さんが僕の小説家としての名前を知っていただける方も多くなってきたっていうところもあって。やはりそういうふうに評価されないと届けられないというふうにすごく実感したので、これからもどんどん小説書いて活躍して、評価されるようになっていろんな人に届けたいなと思っております」