■「安倍さんの業績はきちんとした果実になっていない」


問題点3つ目は「総理の業績」だ。国葬では岸田総理が安倍氏の業績を羅列したが、保阪氏は「自分で書いた文章じゃないことが感じられて伝わってこなかった」と酷評した。
特に国葬の場では当然安倍氏の業績を礼賛する言葉が並べられるが、そのなかで外交についての功績を称えるものが多かった。しかし、保阪氏は言う。


保阪正康氏
「安倍さんがプーチンと27回会ったことが業績のように言われていますが、プーチンがウクライナに侵攻したらすぐに飛んで行って“あなた、こういうことやっちゃいけないんじゃないですか”って、ひざ詰め談判をしたなら、安倍さんって凄い人だなって見直したかもしれない。でも安倍さんは、これを利用して核の共有論を持ち出した。発想が違うんじゃないかって思う。業績がきちんとした果実になっていないことを証明している。残酷な言い方ですが、安倍さんの政治的業績って何ですか、と私たちは問い直さなければならない。むしろマイナスの方が多いんじゃないかっていう思いが国葬の反対に結び付いたと思う」

以上の3つの問題点は、この時代に生きている私たちの責任だと保阪氏は言う。

保阪正康氏
「10年後20年後、この人を国葬にしたことを私たちは認めたとなってしまう。だから私たちは認めていないということを歴史的なアリバイとして残す必要があると思います」

歴史は今回の国葬をどう伝えるのだろうか?
問題は岸田総理が、そこまで深く考えて国葬を持ち出したとは思えないことだ。


ジャーナリスト 後藤謙次氏
「(安倍さんが非業の死を遂げた直後)岸田さんはあの時の国民世論、献花の長蛇の列、安倍さんの死を悼む雰囲気、自分も当選同期で非常に深い友情がある、さらに安倍さんの後ろには岩盤支持層がいる。ここで国葬を決めることは、自分の政権運営にとって非常にプラスになるんだという判断が働いたんだと思う。国民よりも自分は一歩前で決断している。その決断力を誇らしく思っていたんでしょうね。それが逆風となり、後付けで説明しているうちにアリ地獄に・・・。まぁ周りを含めてこの問題に真摯に取り組んだ形跡は見えないですね」

(BS-TBS 『報道1930』 9月27日放送より)