◇背景にある“DV”という根深い問題

 事件は、なぜ起こってしまったのか?DVの被害者を支援する『女のスペース・おん』の代表理事、山崎菊乃さんです。

『女のスペース・おん』代表理事・山崎菊乃さん
「別れた後が1番危険なんですよね。今回もそうだったんですけど、別れ際だとか、別れた後っていうのが1番危ない」

夫からDV被害を受けていた女性は、支配的な関係に置かれていた当時について、こう振り返ります。

DV被害を受けていた女性
「ひょっとしたら夫が反省して、謝ってくれて、変わってくれて、また前のように、仲良くやっていける日が来るんじゃないかって」

夫とは再婚同士、日常的に酷い扱いを受けていたと、女性は話します。

DV被害を受けていた女性
「ヘアドライヤーを買おうとすると、安いものしか選んではダメだとか言われたし、(夫から)『ペットのドライヤーがあるからそれを使えばいい』と言われて…。身体的な暴力もありましたし」

◇支配的な関係に置かれた被害者の心境

 女性は市役所に相談し、夫から受けている行為は“DVだ”と告げられていたいいます。しかし、女性は当時の心境をこう話します。

DV被害を受けていた女性
「私があのとき、夫に文句を言わなければ、人格否定はされなかったから“文句を言ってしまった私が悪い”と思った」

「まさか、この人(夫)がDVなわけない…と思った」


その後、弁護士に相談しても「変わってくれるかも…」と、淡い期待を夫に抱いていた女性。いまでも覚えている、別れるきっかけになった、警察からのある言葉があります。

DV被害を受けていた女性
「(警察から)“この人と一緒に居なくてもいいんじゃないの?”」


女性は、今年初めに離婚。当時の自身の心境を、改めて振り返ってもらいました。

DV被害を受けていた女性
「恋愛感情で相手の欠点が見えなくなってしまっていました…依存です」

◇DVから被害者を救い出すために…

『女のスペース・おん』代表理事の山崎さんは、警察への相談だけではなく、支援団体への相談も重要だと言います。

被害者が、緊急的に避難して生活することができる施設での一時保護も可能です。

住所非公開で、加害者に知られることなく、次の生活への準備を進めることが出来ます。

『女のスペース・おん』代表理事 山崎菊乃さん
「弁護士をつけるってことや、お金がまったくない人に関しては生活保護をつけるとか。子どもがいる場合には住民票を移さないで、転校の手続きをするとか」


誰かに話したいと思ったとき、話を聞いてほしいと思ったときに、相談してほしいと山崎さんは話します。

『女のスペース・おん』代表理事 山崎菊乃さん
「みんな勇気出してくるんですよ。もう相談に来るだけで、すごい勇気ですよ」


「辛いなって思ったら、とにかく相談、まず誰かに話を聞いてもらえれば、どこかにつながるので“独りぼっちはないです”ってことを、皆さんにお伝えしたいなと思います」