「スタートラインに立った」

手を振る日本被団協の代表団=© Nobel Prize Outreach. Photo Jo Straube

神戸:長崎新聞の記事は、福岡でも読むことができるんですか。

佐々木:長崎県内でしか配達してないのですが、長崎新聞のホームページでノーベル平和賞関連の記事は全て無料で公開しています。全国紙とは一味違った視点で、長崎ならではの発信をご覧いただけます。

神戸:先ほど私は「80年もかかって遅すぎた」と感想を言いましたが、逆に今だからこそよかったのかもしれません。お元気なうちにちゃんとスピーチをしていただけたことの価値を感じました。最後に、取材した立場でお伝えしたいことがあれば。

佐々木:被団協の代表団は、現地でもあちこちで「おめでとうございます」と声をかけられたんですね。これまでの被爆者運動が国際的に認められたという意味でお祝いすべきだと思うのですが、これは半分の意味。やはり「核兵器廃絶」「核なき世界の実現」に踏み出せた時に、残り半分の「おめでとう」が言えるんじゃないか、と思います。今回の受賞は、「我々が被爆者から大切なメッセージを受け取って、次の世代と一緒に核なき世界を目指していく、ひとつのスタートラインに立った」と言いますか、「ここからまた新しく始まるんだな」という気がしています。

神戸:私達の「子供たちに対する責任」かもしれませんね。佐々木さん、どうもありがとうございました。

未来に向け振る手=©Foto Helene MariussenNobel Prize Outreach

◎神戸金史(かんべ・かねぶみ)

1967年生まれ。毎日新聞入社直後に雲仙噴火災害に遭遇。福岡、東京の社会部で勤務した後、2005年にRKBに転職。ニュース報道やドキュメンタリー制作にあたってきた。やまゆり園障害者殺傷事件やヘイトスピーチを題材にしたドキュメンタリー最新作『リリアンの揺りかご』は各種プラットホームで有料配信中。