検察側は納得せずさらに上の最高裁判所に上告しました。

最高裁では必ず「弁論」が開かれる訳ではありません。

最高裁が検討した結果、多くの場合は不受理つまり「門前払い」で、受理された場合のみ「弁論」が開かれます。

2022年の1年間に上告された刑事事件が終局したのは1684件。

このうち「弁論」が開かれ原判決が破棄されたのは、わずか8件で全体の1パーセント以下です。

最高裁での審理は、これまでの裁判の手続きや判決に法令違反などの可能性がある場合にのみ行われるためです。

最高裁は、2024年10月に検察側と被告側の双方の意見を聞く「弁論」を開きました。

弁論で検察側は、無罪判決は法律の解釈適用の誤りで著しく正義に反するとし速やかに破棄すべきと主張しました。

(検察側)
「被告の身勝手な行動によって救護が遅れたことを過小評価した不合理な判決で、被害者が発見されない間に119番通報することが無意味であるかのような判断」

一方、弁護側は改めて無罪を主張しました。

(弁護側)
「被告は直ちに被害者の捜索を開始した。救護義務と相容れない行動があったとしても、離れた時間や距離の程度やその後の行動が全体的に考察されていて、判決に法令違反はない」