
久保田要さん:
「自然の猛威をもろに受ける軍艦島では木片が落ちていたり、外壁が崩れていたり風化が進んでいた」
「人がいなくなると風化が急激に進む。遺された建築空間を記録にとどめるためには、やはりすぐ調査しなくてはと思った」
久保田さんによれば、海の真ん中にあって自然の猛威にさらされている軍艦島の建物には、波の侵入を防ぐ木製の防潮扉が設置されていたり、大波をかぶっても海水が建物外へ流れ出ていくような溝があったり、軍艦島という特殊な環境ならではの工夫があったそうです。

調査隊は軍艦島にあるすべての建物を担当ごとに実測、写真撮影を行い、それらの情報を1棟ずつ図面に描き起こしていきました。
すべての建物の情報をまとめた全島の手書き図は久保田さんがまとめ役を任されて描き上げたほか、さらに200分の1の全島模型も作り上げました。
全島模型は今、愛知県の明治村に展示されています。

そもそも軍艦島という小さな島で鉄筋コンクリートのアパート群が建築されたのはなぜなのか…。