住民投票が実施されるうちの一つヘルソン州。93%の土地がロシアの支配地域になっているというがウクライナ軍の巻き返しが始まっている。この地でロシアの補給路を断ち、ウクライナ軍攻勢の一翼を担っているある部隊に、今現在の戦いを聞いた。以前は中国製の手に乗るくらいのドローンを使っていた部隊だが、いまはそれとは違うという。彼らが戦場で使っている“兵器”を見せてもらった。

■オランダ製のドローンはクラウドファンディングで…


ウクライナ軍の空中偵察部隊のチーム長が見せてくれたのは大型のドローン。この日、戦場で使うための最終テストを行っていた。オランダ製で低温や雨、雪に強く正確な位置情報を入手できるレンズが付いているといいクラウドファンディングで購入したという。


ウクライナ軍空中偵察部隊 マジャル チーム長
「高さは5キロメートル、距離は150キロメートルまでいけますよ。まったく新しいレベルです」

これまで使っていたドローンは中国製で高度は500メートル飛行距離は7.5キロメートルだったというから格段に性能は上だ。しかも高さが5キロということは、ロシアの航空管制に引っかかる高さであることから、ジャミングなどこの部隊が何らかの方法でロシアの目をかいくぐる方法を使えることも推察される。

■ドローン用の移動司令室とは…


さらにこの部隊では、この高性能ドローンの情報を移動しながら受信、分析し各部隊へ連絡できるシステムも持っていた。敵の位置など高精度で情報収集し、攻撃部隊に知らせることが可能だ。

ウクライナ空中偵察部隊 マジャル チーム長
「これは我々が利用している移動式の司令室です。自己完結式でインターネットがあるので必要な情報が得られますし、ここにいながらオンラインでドローンの飛行をモニタリングして情報を得ることができます。」

ーー後ろの画面は?

「これは戦闘地の地図です。あまり見せられないです。」


今、彼らがいる南部ヘルソンの戦況はどうなっているか。

ウクライナ空中偵察部隊 マジャル チーム長
「ヘルソンへの敵の補給路は完全に遮断されていませんが、かなり制限されています。兵器や弾薬を届けるために使っていた橋は破壊されて、ウクライナ軍が攻撃できる状態です」
「ドニプロ川の右岸に敵の3万人の兵士や多量の兵器が集まっています。ウクライナ軍はその場所を攻撃し、コントロールできているので、進軍が可能になり、領土を開放し掃討作戦を行うことができています」

今後ウクライナに冬が訪れる。しかし、その前の雨期も戦いに大きな影響を与えるという。地面がぬかるみ、泥が戦車や軍事車両の行く手を阻むというのだ。実際、第二次世界大戦のドイツ軍は泥で進軍のペースが遅くなり、古くはナポレオンも寒さと泥で侵攻を失敗している。この地の戦いには、いつの時代にも冬将軍とともに泥将軍がこの地にはいつの時代もいるというのだ。

ーーウクライナとして泥が影響するのは東部だけですか?

ウクライナ空中偵察部隊 マジャル チーム長
「当然影響します。東部はより寒く、南部では風が吹きます。強い風が吹けば寒くはなりませんが、戦闘を困難にします。兵士は寒いというよりも、攻撃や偵察の正確性に影響が出ます。燃料や寒さを防ぐ軍服、強化された移動用の軍隊車両等が必要です。ウクライナの冬はとても寒い時もあるし、今年の冬は暖冬といったような予報は聞いていません。敵も私たちも同じ条件ですが、ただし私たちは自分の国で戦っている。ロシアは彼の地で戦っているからそこは違います」

BS-TBS 『報道1930』9月20日放送より)