16歳未満の少女を誘拐し性的暴行を加えたとして、わいせつ誘拐などの罪に問われているアメリカ空軍兵の男に対し、那覇地裁は13日、懲役5年の実刑判決を言い渡しました。
今回の裁判には5つのポイントがありました。
(1)ワシントン被告が16歳未満という少女の年齢を認識していたか
(2)性的接触があったか
(3)同意があったか
(4)同意がなかったことを認識していたか
(5)誘拐したときに、ワシントン被告にわいせつ目的があったか

これまでの裁判で、被害少女が16歳未満の実際の年齢を答えたと法廷で証言した一方、ワシントン被告は「彼女は18歳だと答えた」などと主張して否定していました。
また性的接触についての同意の有無についても、少女とワシントン被告の主張は真っ向から食い違っていましたが、この日の判決では先の5つのポイントすべてで少女の証言の信用性が全面的に認められました。
この判決内容について、法廷で傍聴した琉球大学の矢野恵美教授です。
矢野恵美教授
「有罪判決が出て安堵している。被害者が勇気を出して声を上げたことが判決につながった。非常に評価できる」
(Q:被害者の証言の信用性が認められた要因)
矢野教授
「性犯罪は通常、加害者と被害者しかその場におらず、言い分がくい違う。どちらの話が筋が通っているか、で判断されたと思う」
矢野教授
「ただ判決に気になる点もあった。判決では、ワシントン被告が当時、被害少女が『やめて。ストップ』と言うまでは、同意していないことが認識できなかった可能性を指摘している」
(Q:もし被害者が恐怖で硬直してしまって、『やめて。ストップ』と口に出せなかったら加害者側は不同意を認識できなかったという判決もあり得たのか)
矢野教授
「これからの同種事件でどうなるのか不安になる内容だった」
この事件をめぐっては、去年12月に事件が起きた後、ワシントン被告はことし3月に起訴されていましたが、この時点では警察や検察から発表はなく県が少女の被害を把握できていませんでした。こうした経緯も大きな問題となりました。

矢野教授
「アメリカの事例だけ特別だということはない。被害者のプライバシーの保護だと言えば伏せていいんだというものでもないので、きちんとアメリカと沖縄の関係性を見直す時期にきている」