国税庁をかたる特殊詐欺事件が多発している。いずれも携帯電話にURL付きのショートメッセージが届き、添付されているURLをクリックすると滞納金名目で電子マネーをだまし取る手口。国税庁はショートメッセージによる案内を送信することは一切ないとし、注意を呼びかけている。

ことし9月12日午後8時半ごろ、大分市内に住んでいる30代女性のスマートフォンに国税庁をかたって「最終通知、未払い税金お支払いのお願い」などと書かれたショートメッセージが届いた。女性が添付されていたURLをクリックすると「滞納金合計40000円」「納付がないときは、税法のきめるところにより、差押処分に着手致します」などと表示された。

その後、女性は画面に表示された指示に従い、コンビニエンスストアで4万円分の電子マネーを購入。登録フォームにIDを入力し、電子マネーの利用権をだまし取られた。

国税庁をかたる特殊詐欺事件は大分県内で9月12日から17日にかけて4件発生。いずれも全く同じ手口で、ショートメッセージを経由し、画面に表示された指示に従って滞納金名目で4万円分の電子マネーをだまし取られている。被害者の4人は、20代の男女2人、30代女性、40代女性と若者に集中。スマホの操作に慣れている若者をターゲットにしたのではないかとみられる。

実際に送られてきた国税庁をかたるメールをみてみると、「稅」や「客勛」など見慣れない漢字が所々使われている。滞納金合計は、8月で50000円、9月は40000円と記載されいていた。
実際の詐欺メール
実際の詐欺メール

こうした国税庁をかたる詐欺事件は今年7月以降、全国で多発しているという。ショートメッセージやメールに添付されているURLから国税庁のホームページになりすました偽のページへ誘導するもの。国税庁への電話での問い合わせだけでも3000件を超えていて、1日に200件の問い合わせがあったこともある。

こうした詐欺メールについて国税庁の担当者は過去、数件程度あったが、今年は急激に増えて期間も長いと困惑。ショートメッセージによる手口は初めてだという。

国税庁は滞納者に対しては督促状を文書で郵送、その後も納付されない場合は催告状を文書で郵送するほか、直接電話をして交渉している。ショートメッセージによる案内を送信することはなく、納付を求めたり差押えの執行を予告したりする内容をショートメッセージやメールで送信することは一切ないと話し、注意を呼びかけている。