東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県山元町にある伊達家ゆかりの茶室が修復工事を終えて、24日から一般公開されました。修復にはクラウドファンディングが活用され仙台藩の茶の湯の歴史を伝える貴重な文化財として生まれ変わりました。

一般公開が始まった山元町にある「大條家(おおえだけ)茶室 此君亭(しくんてい)」。

仙台藩の茶の湯の文化を伝え現在まで唯一残る伊達家ゆかりの茶室です。木造平屋建て、3室で構成され町の指定文化財にも登録されていて、24日は町内外から歴史ある茶室を見学しに多くの人が訪れました。

茶室の説明:
「ほとんどが当時の柱を使っているんですが、このように新しいものに対してはこういう木を使っている」

見学した人:
「すごくきれいになってうれしいです」
「ここで産まれ育ったものとして復元できたのは感無量」

この茶室は1832年に伊達家から、代々家臣として仕えた大條家に与えられました。当初、仙台市青葉区にありましたが、1932年に現在の場所に移築。町が柱の年代測定をした結果「江戸時代後期」の建物とみられています。

しかし、移築されてから100年近く経って老朽化が進んだほか東日本大震災で大きな被害を受けました。

山元町教育委員会 山田隆博さん:
「ここが特に土壁がほとんど落ちてしまって、外のとたんが見えてしまっている状況。ここはほぼ(地震で)やられてしまっている。床も沈んでしまっている」

修復工事では文化財としての価値が損なわれないよう創建時に使用された木材をできるだけ残し腐食した部分を入れ替えるなどしました。

山形大学工学部 永井康雄教授:
「仙台藩では茶の湯が社交の場としては江戸時代は必須のものだった。茶室を通していろいろな人が交流していた」

修復費用は1億1000万円で、このうちクラウドファンディングで寄せられた1080万円あまりが活用されました。今回の修復では庭園も新たに整備されました。

山元町 橋元伸一町長:
「中に入ったり、お茶会やそういうものを開催してもらえればありがたい」

仙台藩の茶の湯の文化をいまに伝える貴重な茶室。町は今後文化財として適切に保存するとともに町民の交流の場としても活用してもらうことにしています。

大條家はサンドウィッチマンの伊達みきおさんの先祖で、サンドウィッチマンの2人も寄付をして「貴重な文化財なので沢山の人に足を運んでほしい」とメッセージを寄せています。