ビル建築による“ヒートアイランド現象”への配慮は?

東京大学 斎藤幸平 准教授:
もちろん地価も上がっていきますし、オフィスやタワマンなどをつくることで街が活気づき、国際化していくという面もあるかもしれません。

しかし大井町などのエリアには、もともと住んでいる人たちもかなりいます。そういう人たちの声がどれぐらい反映されているのかは気になりますし、環境問題などもこれから考えていかなければいけないなか、こういう沿岸部のビルをどんどん建てていくことに、どれぐらい合理性があるのか。そのあたりは、もう少し丁寧な議論が必要ではないでしょうか。

山内キャスター:
品川と汐留が開発されたときは、海からの風が東京に入っていかなくなり、ヒートアイランド現象がすごく進んだといいます。今回の品川の再開発は大丈夫なのでしょうか。

加藤キャスター:
まさに、環境に配慮された再開発になっているとのことです。

ヒートアイランド現象とは、海からの風が東京都などの建物に邪魔され、奥に行くことができないという問題です。東京都立大学の三上岳彦名誉教授は「高層ビルが風の流れを止めている。ビル群がない時と比べて1~2度気温が上がっている」と指摘します。

しかし今回の再開発では、建物の形状や配置を工夫することによって風の道を確保し、ヒートアイランド現象にならないよう対策しているとのことです。

日比キャスター:
品川エリアは、さまざまな場所から人々が働きに来て、いろいろなところに帰るエリアです。つまり、何か有事の際には帰宅困難者を受け入れる施設も非常に重要だと思います。

東京大学 斎藤幸平 准教授:
確かに、そういう意味では品川は便利ですし、今までも中心部でした。開発をして維持していくという面もあっていいのではないでしょうか。

ただ、高輪ゲートウェイなどは今のところ使っている人が少ないですし、ビルは1回建てると取り返しがつかないことになるので、丁寧にやってほしいと思います。

日比キャスター:
使う側の心理的なところもそうですし、効果や影響についても納得しながら、こういった開発が進めばいいと思います。

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<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学 准教授 専門は経済思想・社会思想
著書『人新世の「資本論」』50万部突破