専門家は、円安による日本経済の危機は、一時的なものではないと、警鐘を鳴らします。
経済評論家 加谷珪一氏
「国力の低下、日本企業の競争力の低下です。80年代までの成功体験にあぐらをかいてしまって、日本の製造業は、あまり積極的な技術開発をしなかった。90年代以降、世界市場に占める日本企業の影響力は低下する一方で、円も国際的地位が低下してしまった」
かつて日本は自動車から電化製品まで性能の良い魅力的な製品を次々生み出し、世界に輸出。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と称される、輸出大国に成長しました。
しかしバブル崩壊後、日本経済は低迷。株価も下落するなど「失われた20年」と呼ばれる時代に突入します。
そうした状況の中、登場したのがーー
安倍元総理
「Buy my アベノミクス!」
日銀による異次元の金融緩和を柱とするアベノミクス。3本の矢を掲げ、株価は上昇したものの、金融緩和の出口は見つからず、円安に歯止めがかからない現状です。
経済評論家 加谷珪一氏
「本来アベノミクスが目指すべきであった、日本経済の仕組みをちゃんと成長できる体質に変える、この部分はほとんど手つかずの状態で、金融緩和さえやれば経済が良くなるというような政策になってしまった。これでは成長できないのも当然。国力全体が低下している」
実際、日本の「国力低下」は顕著です。2000年に世界2位だった一人あたりのGDP=国内総生産は、28位に下落。
また、スイスの調査機関が公表している「経済的競争力の国際比較」でも、1989年から4年連続1位だった日本は、現在34位に。
さらに、通貨の実力を示す「実質実効為替レート」もドルやユーロなどに対し、円の実力は、51年前の水準にまで低下しているといいます。
こうした状況に、専門家は…
経済評論家 加谷珪一氏
「日本経済の仕組みそのものに問題がある。企業が競争力を付けて、国民の賃金が上がっていかないと、国力は増えていかない。やらなきゃいけないことは分かっていて、なぜかそれに手をつけない、それが今の日本なんだと思います」
国力低下が続く日本。打開策はとられるのでしょうか--
(「サンデーモーニング」2022年9月18日放送より)