最近はスマートフォンなどで最新の防災情報が入手できるようになりました。一方、従来型の防災無線は一部で役目を終えようとしていますが、高齢者など、スマホが苦手な人には課題もあります。
静岡県浜松市の中心部から車で約2時間、天竜区水窪町です。
<今井千代子さん>
「あそこに無線(戸別受信機)があった。何々がありますって(流れてた)。警報とかもね、だけど取り外して返却した」
今井さんの自宅には行政が防災情報などを伝える同報無線の戸別受信機がありました。しかし、去年撤去されたといいます。
国のデジタル化推進に伴い、自治体は今、同報無線の数を見直しています。屋外のスピーカーは浜松市全体で734台から464台に減少。(2021年10月時点)戸別受信機もスマートフォンなどへの情報発信に切り替えています。
<今井千代子さん>
「(外の無線だと)聞こえない時もあるので戸別受信機をとらない方が良かった」
浜松市はメールのほか、2021年10月からはLINEでも防災情報を発信しています。音声での放送とは違い、聞き逃す心配がなく、文字で確実に防災情報を伝えることができるようになりました。しかし、スマホの操作が苦手な高齢者もいます。
<DP SIM SUPPORT 笹本純一代表>
「防災情報を受け取りたい場合は配信情報設定をタップして、次に受け取りたい地区を選ぶ…気象警報注意報を押すと確認できます」
市がNPO法人に委託しているスマホ教室です。防災情報だけでなく、スマホでの買い物など便利な使い方を教えています。
<参加者>
「こんなの夢の夢だったよね、でも今は出来て、これで買い物もしている」
家に、同報無線の戸別受信機がなくなった今井さんも参加しました。
<今井千代子さん>
「来て良かったなと思います、わからないこともちょっと聞けたし」
スマホ教室を行うNPO法人は、地域の情報を文章や写真・声で発信するLINEアカウント、「水窪くらしの情報局」の試験運用も始めました。
<NPO法人まちづくりネットワークWILL 平澤文江理事長>
「スマホが上手に使えれば安心して免許も返せる。水窪は簡単に集落が孤立するんです。道が分断される不便な地域だからこそ、それを補うスマホにはすごく期待感が大きいと思います」
将来は、スマホの相談に対応できる連絡員を育てたいと地域では考えています。
<浜松市デジタル・スマートシティ推進部 濱中慧さん>
「実際に自分で使ってみて出てきた問題を相談できる形にしていく」
防災無線のデジタル化で高齢者などが取り残されることがないように、地域みんなで防災力を高めようとしています。
注目の記事
「太陽系外から飛来」の恒星間天体「3I/ATLAS」が最接近へ 「観測史上3つ目」宇宙望遠鏡が捉えた姿

「また無くなるのでは」と買い占めも…コメ豊作なのに続く高値「増産」は実現可能なのか?【Bizスクエア】

うどんを食べて育った「讃岐うどん雲丹」?!不思議な “食事シーン”をご覧あれ 水産科の高校生が飲食チェーンと共同研究し商品化【香川】

『あの外国人女性はどこに?』1970年万博パビリオンで忘れられない出会い 77歳男性の願い叶うか―― 55年ぶりの万博で起きた奇跡に密着

「ママ、涙が止まらなかったんだよ」2歳の娘にいつか伝えたい 消えたぬいぐるみ「コアちゃん」のこと 40軒の聞き込みとSNS、海を越えた宝探しが繋いだ“再会”

父親の腎臓を移植した男性 “使命感で” 体育教師の夢捨て人工透析の技士に 31年後に再発…「お父さんが危ない」次に命をつないだのは-
