「年金だけでは暮らしていけない」働き続ける年金生活者が政治に望むこと
物価高で厳しい経済状況は、年金暮らしの人たちにも直撃している。

名古屋市に住む松江譲さん(78)は、5年前から生活のためにある仕事を始めた。
──今日はどういう作業を?
松江譲さん
「草取りと、落ち葉の溜まったところを取る」
シルバー人材センターから委託を受けて、一般家庭などの清掃業務を行っている。

松江さん
「草の種類によってさ、大変なんだ。このツルが厄介」
──夏は大変だったのでは?
「暑かった暑かった。もうべっとべとになってやっとって」
──腰は大丈夫ですか?
「腰はもう万年で。だましだまし湿布貼って。湿布貼ってる、もちろん。コルセットはめてやってる」
松江さんは15歳の時、集団就職で長崎から名古屋へ出てきた。それから58年間、木工所に勤めたが、72歳の時に会社が倒産して退職した。
夫婦で年金を受け取っているが、保険料などが引かれ、使える額は月18万円ほど。それだけでは生活がままならないため、働きに出ることにしたという。

松江さん
「年金は少ないし、引かれるものも多いし、介護保険やら保険料も高いもんね」
「旅行も行ったことないし。旅行行けるような(年金が)あったらいいかな」
仕事は1日3時間の日もあれば、フルタイムの日もある。時給は愛知県の最低賃金1027円で、9月は3万7382円を受け取った。
食費の高騰も家計を圧迫している。

妻 松江洋美さん(78)
「買う物を減らして減らして。前は関係なしに欲しいもの買ってたけど、今は選んで選んで」
「趣味はお花をやってた時もあるし、絵手紙とかもやってたけど、みんなやめました。田舎が遠いから何か起こった時のために、そのお金はなるべく使わないように…」

唯一、自由に使えるというお金を見せてくれた。時給の1027円から、220円を小遣い分として貯めているという。
政治について望むことを聞くと…
松江譲さん
「物価を下げるような政策をしてほしいし。消費税だわね、一番ネックになってるのは」
妻 洋美さん
「軍事費を減らして、全部国民の方に回してほしいと思ってます。結局(日本の)軍事産業やってるとこだけはすごい成長してるから」
年金が少なく、経済的な理由で仕事を続ける高齢者は他にもいる。
福祉施設で働く男性(70)
「3回ぐらい会社が倒産して、次の仕事が決まるまでの間は、年金のお金もなかなか払えない」
──今もらってる年金だけだと生活は厳しい?
福祉施設で働く男性(70)
「無理無理無理無理。(年金は)月に計算すると9万(円)ぐらいしかないからさ」
──年金だけでの生活はやっぱ厳しい?

建設業の男性(77)
「厳しいですよ。選挙に出ている人は自分勝手というか、自分の立場で物事を決めるからね、私らの事を考えて物事を決めるならいいけどね」