2014年の御嶽山の噴火災害をめぐり、犠牲者の遺族などが国などに損害賠償を求めた裁判の控訴審判決で、東京高裁は噴火警戒レベルを引き上げなかった気象庁の判断は「著しく合理性を欠くということはできない」として訴えを退けました。

この裁判は、2014年9月に起きた御嶽山噴火災害の犠牲者家族と負傷者32人が、噴火警戒レベルの引き上げを怠ったなどとして、国と県を相手取って総額3億7,600万円の損害賠償を求めたものです。

大きな争点となったのは、当時、火山性地震の増加などの前兆現象を観測しながら噴火警戒レベルを1に据え置いた気象庁の判断です。

一審の長野地裁・松本支部は、「検討を先送りし、漫然とレベル1のまま据え置いた判断は著しく合理性を欠き違法である」と認定。その上で立ち入り規制までは時間がかかるなどとして、被害との因果関係は認めず訴えを棄却しました。

21日の控訴審判決で、東京高裁の筒井健夫裁判長は、一審判決と同様に遺族側の請求を棄却。

一審が「合理性を欠き違法」とした気象庁の判断についても、「職務上の注意義務違反があったとは認められない」として「著しく合理性を欠くということはできない」と述べました。

次女を亡くした長山幸嗣さん:
「切り捨てられたような感想というか感じ方をして、非常に憤りを感じている」
噴火災害で負傷した田幸秀敏さん:
「一審よりも厳しい判決になったなと。すごく残念に思って、悔しい思いがあります」

遺族側は、最高裁へ上告するかどうかは、今後、相談したうえで決めるとしています。