夫婦同姓→選択的夫婦別姓に改めた国もあるなか、日本は勧告に従わず

では、世界はどう変わってきたのでしょうか。

ドイツ、スイス、オーストリアなども、かつては夫婦同姓を義務付けていましたが、これを次々と改めて選択的夫婦別姓を導入してきました。

この潮流を作ったのが、1979年にできた「女性差別撤廃条約」です。“世界の女性の憲法”とも呼ばれ、日本も1985年になって批准しました。

この条約を履行しているかどうかを、国連の「女性差別撤廃委員会」が審査します。夫婦同姓を義務付ける日本の法律については、「実際には女性に夫の姓を強制している」として、20年以上前から過去3度にわたって是正勧告してきました。しかし日本は、これに従ってこなかったのです。

国際人権法を専門とする青山学院大学の谷口洋幸教授は「日本政府は女性差別撤廃条約をあまりに軽視している。国際社会からは夫婦同姓の制度に日本の人権意識の低さが表れていると見られている」と指摘します。