8月の実質賃金が3か月ぶりにマイナスに転じた。賃金の伸びが物価上昇に追いつかない中、値下げに踏み切る企業も出てきている。
物価高で消費落ち込み 値下げに踏み切る企業も

ホームセンターのカインズは、9月25日から391品目の商品を値下げした。カインズ広報部・鈴木ゆう子さんは「顧客が頻繁に使う日用消耗品を中心に安く提供したいという思いがあり、使用頻度の高い食品ラップなどを中心に値下げした」という。例えば50個入りの紙コップは178円から158円(税込)に、鉛筆1ダースは348円から248円(税込)にした。
来店客は「価格は一番重要なので、重視して買い物している」「カインズ製品は安い。どっちでもいいと思うのは、カインズ製品を使う」「ここは安いというイメージを持ってるから、他にはいかない」という。物価高のいま、値下げを実施する狙いはどこにあるのか。

カインズ 広報部 鈴木ゆう子さん:
今はリアル店舗でも、オンラインショップでも本当に多くの小売業があるので、顧客から選んでもらうためにも安さは守っていきたい。
カインズは、商品の企画・製造・販売を一貫して行う製造小売業として、コスト管理を徹底。さらに、全国240店舗という規模の大きさを生かして、仕入れ原価などを下げていることが、値下げを可能にした。
カインズ 広報部 鈴木ゆう子さん:
まずは来店してもらわないと売上も一切立たないので、安いことでまず足を運んでもらい、それがリピーターになってもらえれば、長く集客の点でも貢献できるのかなと考えている。

値下げの波は牛丼チェーンにも。吉野家は10月9日から1週間限定で牛丼を100円引きで販売。並盛1杯398円(店内価格・税込)で提供している。来店客は「いま何でも(価格)が上がっているからありがたい」「嬉しい。普通よりも安くなり、お手軽には食られた」という。

吉野家ホールディングスの2024年3月から8月の決算は、純利益が前年同時期と比べて23%減少。人件費の上昇が利益を圧迫した。厳しい環境の中での値下げの狙いは、物価高が続いている中での、新規の来客や既存客の再来店だという。

また、イオンも主力の総合スーパー事業が82億円の赤字となった。イオンの吉田昭夫社長は「食料品の顧客バスケット点数(購入数)は、一定程度、減少したままが続いている」としてイオンは低価格のプライベートブランドの商品を強化する考えを示した。














