相続時精算課税制度とは?法改正で便利になる一方、 注意点も
次に「相続時精算課税制度」についてです。この制度では、贈与額が計2500万円までは課税されない特別控除枠があり、それを超える金額に対して一律20%の贈与税が課されます。特に高額の財産を短期間で贈与したい場合に有効といえます。

もう一つの特徴は、今年の法改正により2500万円の控除枠の他にも年間110万円までの基礎控除(非課税枠)が設けられたことです。玉置さんは「この改正により、制度の使い勝手が向上した」と述べます。
一見、暦年課税より有利に見える制度ですが、相続時精算課税による贈与はすべて相続財産に加算され、相続時に相続税として徴収される点に注意が必要です。
他方、この制度で相続時に加えられる財産は”贈与時の時価“で計算されます。このため将来的に評価額の上昇が見込まれる不動産や有価証券などを、先手を打って贈与したい場合に取り得る選択肢だと玉置さんは指摘します。
ひとたび相続時精算課税を選択すると暦年課税制度には戻れないため、その点は慎重な判断が必要です。また、亡くなった人の所有する宅地の相続税評価額を減額できる「小規模宅地等の特例」が適用されなくなる点も踏まえるべきでしょう。
贈与する意向が固まっているのであれば「一旦、暦年課税を使うことで様子を見ておく」のも一手だと玉置さんは提案します。