有事の際の自衛隊の部隊展開に備えて、政府は与那国島に新たな港湾建設を検討していますが、その予定地内にある湿原を保全してほしいと、昆虫研究の有志らが抗議の声を上げました。

与那国島の南西に広がる樽舞(たるまい)湿原には絶滅危惧種のアオナガイトトンボや、国内希少野生動植物種のヨナクニカラスバトが生息するなど、豊かな生態系をつくっています。

一方で有事の際に自衛隊の部隊展開などに備えて、政府が検討している新たな港湾建設予定地に含まれています。

こうした現状に警鐘を鳴らすため、昆虫の専門家ら有志3人が18日に会見を開き、樽舞湿原の保全や生態系などの詳細な調査を進めるべきだと訴えました。

県病害虫防除所元所長・照屋匡さん
「掘削をすれば当然(生態系が)大きく影響を受けるというのは常識的に分かる」

日本昆虫学会会員・屋冨祖昌子さん
「あそこで保護対象になっている鳥は全部悪影響を受けるでしょうね」

専門家らは同日、県議会議長に対して湿原保全などの要請を行っていて、今後は県庁や県議などにも働きかけていくということです。