敗れた後も笑顔「舞台に出るところから去るところまでがShigekix」

世界ランク1位として決勝進出が期待される中迎えた準決勝は、カナダのPHIL WIZARD(フィリップ・キム)にまさかの0-3で敗戦。
直後の3位決定戦でもアメリカのVICTOR(ビクター・モンタルボ)に0-3で敗れ、メダル獲得とはならなかった。思い描いた結果ではなかったが、対戦相手を全力で称え、最後までShigekixらしい笑顔で舞台を後にした。

Q.3位決定戦の後、サポートメンバーの方々と抱き合ったりしていましたが、どういう話をされていたんですか。

Shigekix:「よくやった!」「かっこよかったよ!」と色んな言葉を皆さんが伝えてくださいました。バトル直後の表情としては晴れ晴れとしていると思うのですけど、悔しい気持ちが本当はめちゃくちゃ強くて。でも表現者として、ステージに出るところから去るところまでShigekixでいるということを大事にしているので、自分の全てを出し切って、ちゃんと晴れ晴れとした表情で舞台を去っていくのが僕なりの表現だったかなと思います。

Q.結果が出るまでではなく、舞台を降りるまで笑顔でいることがShigekix選手の魅せ方なのですね。

Shigekix:そうですね。もし自分が観客席に座っていたら、登場した瞬間にこの人めちゃくちゃいいなとか、他の人と全然雰囲気が違うなとか感じると思うんです。始まっているんですよね、バトルの前から。

Q.一方で、舞台を去ったあとは涙もありました。

Shigekix:そうですね。ちょうどインタビューエリアに向かう途中でサポートメンバーの皆さんと気持ちを整理している時に決勝戦が始まって。自分が立ちたかった決勝戦を本当は見たくないんですけど、この瞬間の自分は絶対に決勝戦を目に焼き付けた方が良いと思って、目をかっぴらいてモニターを見ていました。自分が立とうとしていた対戦だからこそ涙が流れるくらい悔しいけど、この悔しさは噛み締めるものだなと思ったので、結果まで見てからインタビューに行きました。

Q.決勝戦は悔しい気持ちもありながらご覧になっていたと思うんですけれど、改めてご覧になっていかがでしたか?

Shigekix:当日決勝戦までもすごく彼らの良さが出ている素晴らしい踊りを、ムーブを見せていたので、決勝戦にふさわしい踊りバトルだったとすごく思いますね。もちろん悔しいしそこに立ちたい、自分がその登場人物でありたかったという悔しい気持ちは噛み締めながらも見ていました。

激闘を支えた栄養面でのサポート 五輪5か月前に「今までのShigekixを壊す」

メダル獲得へ向け、大会前から栄養面も見直してきた。日本代表選手のために味の素株式会社が日本五輪委員会(JOC)と取り組んだコンディショニングサポート活動「ビクトリープロジェクトⓇ」の支援を受けるなどし、長期的に活躍するための体づくりに着手。サポートディレクターの上野祐輝さんは「チャレンジングな取り組みをしました」と話す。

上野さんとShigekix選手

Q.選手の長期的なプランを立てる上での苦労などはありましたか。

上野さん:長期的イコール苦労ではないですけど、パリ五輪まで残り5か月ぐらいのタイミングで、よりエネルギッシュな自分を作るために今までのShigekix選手というものをいい意味で壊して新しいShigekix選手を作っていくというすごくチャレンジングな取り組みをしました。ストレスなく理想の身体を手に入れるために、彼の行動や表情の変化を見逃さないようにするということに注意していました。

Q.難しい食事の管理やコンディショニングなどを完全にサポートしてくれる存在というのは大きいですか。

Shigekix:大きいですね。もちろん自分自身でバランスをしっかり考えたりしているんですけど、どうしてもそこにプレーヤーとしての主観が入ってきてしまったりとか、精神面で耐えられるからといって無理をしたりとか、結果的に自分の足を引っ張ってしまうことがありました。その瞬間は自分が我慢できるからいいかもしれないが、プレーヤーとしてレベルアップしながら長い目で活躍するためには、より客観的に見た意見やアドバイスがすごく大事だなと思いました。

Q.ちなみにShigekix選手の勝ち飯はなんですか?

Shigekix:鰻です。即答で(笑)実際にパリ五輪でも、選手村に入る前夜に「だしトロロ鰻丼」というものを用意してもらって食べました。僕は元々鰻が大好きで、それを知った上でこういう献立はどうかというのをご提案していただきました。めちゃくちゃ美味しいです。