8月30日の午後、日本維新の会の控室に立憲民主党の安住淳国対委員長の姿があった。就任したばかりの安住氏が維新の遠藤敬国対委員長を訪ね、維新の看板の前でにこやかに談笑する。これまでには“あり得ない光景”だった。2人は去年の衆院選前にも国対委員長を務めていたが、このようなシーンは全く見られないばかりか、両党はお互いがお互いを批判し、まさに「水と油」の関係だった。ここにきて両党の関係に変化がみられるのには、いくつかの理由があると思われる。

岸田政権に距離を置く維新

 これまで立憲民主党は維新のことを『野党でも与党でもない立ち位置』を揶揄して「ゆ党」と呼び、政権の補完勢力と批判してきた。確かに、安倍政権・菅政権ではトップ同士の人的関係もあり、政権に近かった維新だが、岸田政権になるとその立ち位置を一変させた。「もう遠慮することはあらへん…」当時、維新幹部は周辺にこう語っている。

 去年の衆院選に勝利し、議席数を41に伸ばした維新は、矛先を岸田政権に向け文書通信交通滞在費(現・調査研究広報滞在費)の問題で、動きの鈍い自民を批判し、国会での議論をリードしてきたいきさつがある。ある意味「野党化」したのだ。一方、立憲民主党は泉代表の当時の新態勢では、維新とは一線を画していたが、いくつかの場面で議論を維新にリードされ、存在感を発揮できたとはいいがたい。

交流を深めた安住・遠藤国対委員長

 両党の関係を述べるうえで重要なのが安住国対委員長と遠藤国対委員長の関係だ。去年12月に立憲民主党の新執行部の発足で、安住氏が国対委員長を退いた後に2人は交流を深めたとされる。同時期に国対委員長を務めた自民の森山氏とともに3人で食事をすることもあったというが、安住氏の国対委員長就任を契機に、両党の関係に変化が訪れた。安住氏は会見で「政策別連携対応型国会」を目指すと語っているが、これは政策テーマごとに連携する党を変えるという意味で、まさに維新はここに当てはまってくるのだろう。