水木社長 開発前までは“サラリーマン”

今は、UAEをはじめアメリカ、オーストラリアやインド、ヨーロッパ諸国など世界中の国々が導入を検討しているようだ。

ちなみに、水木社長は開発前までは営業や総務で手腕を発揮してきたサラリーマンで、化学や物理などとは縁遠い経歴だった。しかし、それがこの水素製造を可能にしたという。アルミに関しての知識がなかったからこそ、先入観なく考え、多くの人に批判されても恐れず、水素を製造する方法に辿り着くことができたのだ。

開発した後、還暦を過ぎた61歳で取得したものがある。それは「工学博士」という肩書きだ。これまでの開発を論文にまとめ、学術的にも認められたことは、各企業や各国との交渉にも役立っているという。

富山の町工場の開発を目の当たりにして思うことがある。日本企業の発想は独創的で、しかも技術力が高い。しかし、これらを活かしきれなかったことも、日本経済の失われた30年に繋がっているような気がする。

このメイド・イン・ジャパンの技術をいかに守り、世界へ向けて発信していくのか。この水素製造においては技術流出を防ぎつつ、世界をリードしてほしいものだ。日本が失ったものを取り戻すためにも。

【CBCテレビ「チャント!」アンカーマン 大石邦彦】