打ち上げられなかった“濡れた”花火の行方は?

再び夜空を彩る日を待つ花火がある一方で、濡れてしまった花火はどうなるのでしょうか。

足立区によると「中止になってしまった花火は当日中に花火事業者に回収してもらう」といいます。

その先ではどんな作業が行われているのか?花火事業者さんにお話を伺いました。

(足立の花火 有料席も払い戻しとなった)

花火事業者
「すべての花火について、濡れていないか目視によって確認しました。また、打ち揚げ筒の内側が湿っていたり、筒の上部や蓋が濡れていたら、花火玉自体が濡れていなくても再利用できないと判断しています。

仮に、一度濡れた花火を再利用したとなると、花火が上空で開かず地上に落ちてくる危険があります。せっかく手塩にかけて作った花火ですし、非常にもったいないのですが、安全を最優先に考えると廃棄せざるを得ない状況です。

万が一にでも、その花火で誰かが怖い思いをすることになれば、我々は一生後悔することになります」 

さらに、打ち上げられなかった花火についての想いも答えてくれました。

(足立の花火 中止になり帰路につく親子)

花火事業者
「花火を作るのはいくつかの工程を経て完成します。すべての工程は手作業になるので、花火への思い入れは少なからず有ります。

思い通りに開いた花火を見たお客様が喜んでいる姿を見られれば、達成感を最大限感じられる、花火師冥利に尽きる瞬間を味わえます。その瞬間のために、日々花火作りに邁進しております。

やむなく解体することになった花火の解体作業は非常に危険を伴う作業となるので、余計なことは考えず、目の前にある花火玉を安全に解体できるように心がけながら作業しています。ただ、お客様に喜んでもらえるようにと作った花火が、夜空に咲くことが叶わず、自分の手で解体しなければならないときの心情はお察しいただければ幸いです」

私たちが「楽しみにしてたのに!」と残念に思うのは、その時だけかもしれません。しかし、花火大会を運営している方、なにより1年かけて花火を作ってきた花火師さんたちはそれ以上に悔しい思いの中、撤収作業や処分を行っていることを心に留めておきたいです。

花火シーズンはそろそろ終わりを告げますが、ひとつでも多くの花火大会が無事に開催されることを切に願っています。

取材:TBSテレビ デジタル編集部・小林愛

(※1)花火大会2024 乗換案内のジョルダン調べ 9月13日時点