昭和時代は「つい昨日のできごと」
ーこれまでにもコラボ作品はありましたが、今回、新たに作品としようと思われたのは、どのようなお気持ちからでしょうか。
(小手鞠るいさん)
「既刊の2作品はどちらも『児童書』として出版されました。児童向けであるがゆえに、掲載されていない漫画も多数ありましたし、もちろんそれでも、大人も読んで楽しめる児童書ではあるのですが、児童向けという理由だけで、手を出されない読者の方々もおられます」
「そういった方々を含めて、大勢の読者の方々に、父のスケッチブックを見ていただきたい、という思いが強く、また、わたし自身60代後半になり、『自分が生きてきた昭和時代を振り返ってみたい』と思って、本作を書くことにしました」
小手鞠るいさんと父・川滝喜正さん
ースケッチブックの漫画は、SNSで大反響がありました。岡山空襲の場面から始まる長編小説「アップルソング(ポプラ社)」の構想にも、父・川瀧さんが岡山空襲の焼け跡を描いたスケッチが大きな役割を果たしているようです。小手鞠さんにとって、お父様のスケッチの魅力はどのようなところにあるとお感じですか?
(小手鞠るいさん)
「実は、子どもの頃からずっと、父の漫画をなんらかの形で目にしていたこともあり、身内の作品ということもあって、それほど魅力的であるとは思っていなかったのです(笑)。ですので、魅力については、発言を控えます」
「しかしながら、親しくしている編集者、そして、夫もずっと前から、大きな魅力を感じていたようで、SNSでの反響に背中を押されるようにして、出版を考えるようになりました」