4週間に及ぶ議論の末、決裂に終わったNPT=核拡散防止条約・再検討会議。
核兵器廃絶を目指す日本のNGOは「失敗の根本原因は 核兵器国の不誠実な態度」だと非難し、改めて日本政府に『核兵器禁止条約への参加』を求める声明を発表しました。


日本被団協 事務局次長 和田 征子さん(78):
「どこを向いて議論をしてきたのか?」

声明を発表したのは、およそ20の団体や個人が加盟する『核兵器廃絶日本NGO連絡会』です。
今回の会議が失敗した原因は、核軍縮に向けた「重要な提案」をことごとく拒絶した『核兵器国の不誠実な態度』だと指摘。NPTは ”機能不全に陥った” として日本政府に対し『核兵器禁止条約』への参加を求めています。


核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員 川崎 哲さん:
「このままではNPTは核軍縮を進められない。NPTの枠組みの中で核兵器国だけに依存していたら彼らは ”核の危険” を高めることしかしない。それがこの4週間で示されたこと。だから現実的に考えて、核兵器禁止条約に加わらなければならない」

予定より4時間半遅れ、午後7時20分に始まった最終会合。会議冒頭、スラウビネン議長は「たった一つの国が反対した」と述べ、ロシアに発言を促しました。


スラウビネン議長:「残念なことに、たった1か国が異議を唱えている」

ロシアの代表は最終文書の草案について「露骨に政治的な性格を持つ5項目がある」として修正を要求。応じられなければ「合意できない」と発言し、会議は決裂しました。


(ロシアの代表者)「残念ながらこの文書にはコンセンサスがありません」

争点となったのは、攻撃が続いているウクライナのザポリージャ原発です。
『最終文書案』にはロシアの名指しは避けながら「ウクライナ当局による管理の重要性を確認する」という記述が盛り込まれていました。ロシアは土壇場になって容認できないとの立場を主張し、決裂が決定的となりました。



(アメリカの代表者)「はっきりさせましょう。ロシアはウクライナでの行動を通じて、NPTの3つの柱をすべて損なっている張本人である」

アメリカは「すべてはロシアの責任だ」と発言──
核兵器国間の対立の深さも明らかになる中、NPTは前回に続き ”決裂” という結果に終わり、世界の核軍縮がさらに停滞する懸念が深まっています。


核兵器廃絶日本NGO連絡会事務局 浅野 英男さん:
「ロシアを含めた ”核兵器国が持つ影響力の大きさ” という、とてもシビアな側面を強く感じた」


日本被団協 代表委員 田中 煕巳さん:
「幸いにして核兵器禁止条約を獲得しているわけですから、できるだけ生きてるうちに廃絶への道まで作り上げたい」


核兵器廃絶地球市民集会 朝長 万左男 実行委員長:
「絶望はしていない。(核兵器国)も一度は核なき世界を目指す(ことに合意した)これは本心だと思う。そこに影響を与える主張ができるのが、唯一、”被爆地の声” だし、今まで以上に大事になってくると思う」